高校地理で重要な河川をまとめてみた!
どうも、理系地理マスターひろです。
今回は、世界中の川のうち、重要な川についてまとめていきたいと思います。
河川は色々な分野で出てきますが、それぞれの川がどのような特徴があるのか、どのようなポイントがテストに出るのかを同時に頭に入れていくようにしましょう。
河川を覚える上で大事なポイント!
河川をただ覚えるだけでは、共通テストに対応することはできません。
それぞれの河川を覚えていく前に、まず、ここで紹介するポイントを理解しておきましょう。
頻出な河川の種類
地球上には様々な河川がありますが、それを分類して覚えておくと、特徴を聞かれたときにスムーズに答えを選ぶことができます。
- 国際河川:複数の国を流れ、条約によって外国の船が自由に航行できる川
- 外来河川:降水量の多い水源から、砂漠などの乾燥地帯を貫通して流れる川
まずは、この2種類だけでも完璧にしておきましょう。
河口の形
続いて河口の形です。
河口の形は次の2種類があります。
- デルタ(三角州):河川が運んできた土砂が堆積し、周囲の海面とほぼ同じ高さとなった低地
- エスチュアリー(三角江):河口部が沈水してラッパ状の形になった入江
テストで聞かれる川は大体決まっているので、川の名前を覚えるときに一緒に頭に入れてしまいましょう。
デルタとエスチュアリーについて詳しく解説した記事があるので、もっと知りたいという方は次の記事を読んでみてください。
川が土砂を堆積させて作る地形は、次にまとめているので是非参考にしてください。
河川の及ぼす影響
何かしら特徴があってテストに出るから、河川を覚えるわけです。
- 周辺の農業・工業
- 流量の変化
- 環境問題
この3つのポイントを理解しておけば、河川に関する知識は完璧と言っていいでしょう。
今回の記事では、随時このポイントに関する情報を解説していくので、よく理解してください。
覚えるべき世界の河川
それでは、実際の河川を確認していきましょう。
覚えておいて欲しい河川は、この地図上の31個の河川です。
急に覚えろって言われても大変だと思うので、地域に分けて見ていきましょう。
河川の名前だけでなく、その河川の特徴、なぜ大事なのかというところまで解説していきます!
アジアの河川 14選
まずは、アジアです。
アジアの河川が一番覚えることが多いです。大事な河川だけに絞りましたが、15個もあります。
①黄河
黄河は、華北を流れて渤海に注ぎ込む河川です。
上流部の黄土(レス)という粒子の細かい土壌を侵食して下流まで運んでくるため、下流部では天井川になっていたりして洪水がよく起こります。なので、堤防やダムの建設がたびたび行われてきました。
天井川とは、洪水を防ぐために建設された堤防内に土砂が堆積し、周囲よりも高い土地を流れるようになった川。
また、黄土(レス)は栄養分が豊富なので、下流域では小麦の栽培が盛んに行われています。農業と組み合わせて覚えておきましょう。
②ホワイ川
ホワイ川は、長江と黄河の間を流れる川です。
受験地理で意識しておくことは、このホワイ川のラインが年間降水量1000mmの等降水量線とほぼ一致していることです。
年間降水量1000mmがなぜ大事なのかというと、ちょうど稲作ができる限界だからです。
ホワイ川より南部は年間降水量が1000mmを超える多雨地域なので、稲作が盛んに行われています。
反対にホワイ川の北部は少雨なので、米の栽培ではなく小麦の栽培が盛んになっています。
つまり、ホワイ川という名称よりも、その位置と栽培される作物を抑えておくことが大事になります。
③長江
長江は、チベット高原から流れ出して、華中を通り東シナ海に注ぎ込む川です。
下流域には広大な沖積平野が広がっていて、稲作が盛んに行われています。
また、長江の南部では茶の栽培も行われています。
中流域にサンシャダムが建設されて、大規模な水力発電が行われているのも特徴の一つです。
④チュー川
チュー川は、華南を流れる川で、香港とマカオの間を通って南シナ海に注ぎ込みます。
暑い気候を生かした米の二期作や、サトウキビの栽培が盛んです。
そして、河口部のデルタ地帯では、海外との貿易がしやすい立地を生かした大規模な工業地域になっています。
⑤ホン川
インドシナ半島の北東部を流れる川です。
世界的な米の産地が広がっていますが、優先度はそこまで高くはないです。
⑥メコン川
メコン川は東南アジア最長の川です。チベット高原から南シナ海まで流れていて、中国・ミャンマー・ラオス・タイ・カンボジア・ベトナムと多くの国を通過する国際河川です。
河口には広大なメコンデルタが広がっていて、ベトナムの米の生産量の半分がここで生産されます。
非常に重要な稲作地域なので覚えておきましょう。
⑦チャオプラヤ川
チャオプラヤ川はバンコクを中心としたタイを流れる川です。
こちらも世界有数の稲作地帯になっています。
⑧エーヤワディー川
エーヤワディー川はミャンマーの中央部を流れる川です。
こちらも下流のデルタ地帯で稲作が盛んに行われています。
メコン川・チャオプラヤ川・エーヤワディー川は世界有数の稲作地帯と覚えておきましょう。
⑨ガンジス川
ガンジス川はインド東部を流れ、ベンガル湾に注ぎ込む南アジア有数の河川です。
ヒンドスタン平原という沖積平野を流れ、付近では稲作が盛んに行われています。インドの稲作はほぼこの地域で行われていると考えて大丈夫です。
また、ヒンドゥー教にとっては聖なる川で、沐浴が行われています。
⑩インダス川
インダス川はパキスタン東部を流れ、アラビア海に注ぎ込む河川です。
乾燥地帯を流れる外来河川であり、灌漑設備によって、比較的乾燥した気候でも栽培できる小麦や綿花の栽培が行われています。
「インダス川」という名前ですが、インドではなくお隣のパキスタンを通っていることに注意しましょう。
⑪ティグリス川・⑫ユーフラテス川
トルコの山岳地帯から乾燥地域を通過してペルシア湾に注ぎ込む外来河川です。
メソポタミア文明が存在した地域ですね。
⑬アムダリア川・⑭シルダリア川
どちらも、アラル海に注ぎ込む川です。
この川は、綿花を栽培するために灌漑を積極的に行い、どんどん水を使ってしまったため、アラル海に流れる水がめちゃくちゃ減ってしまい、その結果アラル海が大幅に縮小してしまいました。
このような環境問題と絡めて出題されることが多い川です。
アフリカの河川 3選
続いてアフリカを見てみましょう。
⑮ナイル川
ナイル川は、ヴィクトリア湖とエチオピア高原から流れてきて、サハラ砂漠を通過して地中海に注ぎ込む外来河川です。
言うまでもなく、世界最長の河川です。
ナイル川下流では、米・小麦・綿花などが栽培されています。
かつては夏から秋にかけて雨季になり、水が氾濫することで、栄養分を農地に取り入れると言う手法で農業が行われていたのですが、近年アスワンハイダムが完成し、一年中灌漑を行うことができるようになりました。
それによって、一旦農地は広がったのですが、土壌に栄養分が流れてこなくなり塩害が発生したり、土砂が流れてこないため河口の三角州が縮小したり、大きな環境問題になっています。
⑯ニジェール川
西アフリカにある外来河川で、熱帯気候から流れ出し、乾燥気候を通過して再び熱帯気候に戻ってくるというとてもタフな川です。
外来河川の主な例としてよくテストなどに登場します。
⑰コンゴ川
コンゴ川は赤道直下を流れる川で、流域面積はアマゾン川についで世界2位を誇っています。
アフリカは海岸部からすぐに標高が高くなるので、高低差が激しく下流部には滝や急流が多く存在します。
そのため、船は海から遡って内陸まで到達することができません。
アフリカの地形と合わせて抑えておくと良いでしょう。
ヨーロッパの河川 3選
次は、ヨーロッパです。
⑱テムズ川
イギリス南部を流れる川です。
河口がエスチュアリーとなっていて、ロンドンと海をつなぐ役割もになっています。
⑲ライン川
スイスからドイツやオランダなどを通る国際河川です。
テムズ川とは違い、河口は三角州になっています。
勾配がとても緩やかで、水量も一定なので水運が発達しています。
特に、河口のロッテルダムからコンテナを内陸に運んだりするのにとても重要な役割を果たしています。
ロッテルダム周辺のユーロポートや、ドイツのルール工業地帯など、下流域に工業地域が集まっているという特徴もあります。
⑳ドナウ川
ドイツ南部から数々の国首都を経由して黒海に注ぎ込む国際河川です。
河口は、ライン川と同じで三角州になっています。
運河によってライン川と連結されていることと、中流の肥沃な土壌が広がる地域で農業が盛んに行われていることを合わせて覚えておきましょう。
ロシアの河川 4選
ロシアの河川は、カスピ海に流れるヴォルガ川と、北極海に流れる3つの川を抑えておきましょう。
㉑ヴォルガ川
ヴォルガ川はロシアのヨーロッパ側を流れて、カスピ海に流れ込む川です。
ヨーロッパの河川としては、最長です。
輸送路としての役割や、水力発電をしていることが特徴です。
㉒オビ川
ウラル山脈のすぐ東側を流れ、北極海に注ぎ込む川です。
㉓エニセイ川
シベリア中部を流れ、北極海に注ぎ込む川です。
㉔レナ川
シベリア東部を流れ、北極海に注ぎ込む川です。
シベリアを流れるこの3つの川は、冬の間に降り積もった氷雪が融ける6月に流量が多くなることに注意しておきましょう。
南北アメリカの河川 6選
続いて、南北アメリカの河川です。
終わりが近づいてきたので、頑張りましょう!
㉕セントローレンス川
セントローレンス川は五大湖からカナダとアメリカの国境を通り大西洋に注ぎ込む川です。
河口部はエスチュアリーで、大型の船も通れるように工事を行い、現在では五大湖の一番西にあるスペリオル湖まで行くことができるようになりました。
なので、運河として重要な役割を担っているということを把握しておくと良いでしょう。
㉖コロラド川
ロッキー山脈からカリフォルニア湾まで、アメリカ南西部を流れる外来河川です。
ダムが開発され、工業用水や生活用水などが元々乾燥地域だったロサンゼルスに供給されています。
ちなみに、コロラド高原を侵食してできたグランドキャニオンが中流部に存在します。
㉗ミシシッピ川
ミシシッピ川は北アメリカ最長で、河口部にはデルタが広がっています。
高低差が小さく、流れも緩やかなため、古くから物資輸送で重要な内陸水路であり、河川沿いには農産物の集散地となる都市が発達しています。
㉘リオグランデ川
アメリカとメキシコの国境上を流れ、メキシコ湾に注ぐ川です。
自然の地形が国境の役割をしているという例として扱われることがたまにあります。
㉙アマゾン川
アンデス山脈を水源として、アマゾン盆地を通って大西洋に注ぎ込む国際河川です。
世界最大の流域面積を誇ります。
また、流域にはセルバと呼ばれる熱帯雨林が広がっているのですが、近年の急速な開発によって自然が破壊されているという問題があります。
ちなみに、熱帯地方でよく栽培される天然ゴムの原産地はこのアマゾン川の流域です。
㉚ラプラタ川
ラプラタ川は、アルゼンチンの東部とウルグアイを流れる川です。
河口部はエスチュアリーになっています。
流域にはパンパと呼ばれる温帯草原が広がり、豊かな農業地域となっています。
オーストラリアの川
最後にオーストラリアの川です。
㉛マリー川
マリー川はオーストラリア南東部を流れる川です。
大規模な灌漑事業が行われた結果、マリー川流域で小麦の栽培が企業的に行われるようになりました。
まとめ
いかがでしたか?
地理で出てくる川は、様々な意味があって教科書上では散らばっているので、一見覚えづらいと思うかもしれません。
しかし、今回こうやってまとめてみると覚えられそうな気がしてきたのではないでしょうか。
最後に河川を覚えるときに、重要なポイントをもう一度まとめておきます。
河川の種類
- 国際河川:複数の国を流れ、条約によって外国の船が自由に航行できる川
- 外来河川:降水量の多い水源から、砂漠などの乾燥地帯を貫通して流れる川
河口の種類
- デルタ(三角州):河川が運んできた土砂が堆積し、周囲の海面とほぼ同じ高さとなった低地
- エスチュアリー(三角江):河口部が沈水してラッパ状の形になった入江
河川の及ぼす影響
- 周辺の農業・工業
- 流量の変化
- 環境問題
ここであげたポイントを理解しながら、覚えていくようにしましょう!