【地理の基本】世界の海流をたった3つのポイントで覚える方法!
今回は、複雑そうに感じる海流について説明していきます。
多くの人が、なぜ海流が流れるのか? どの方向に流れるのか?といったことを理解していません。
しかし、そんな状態は危険です。海流というのは世界各地の自然現象を起こす要因となっている場合が多いのです。
そのため海流を理解すると、その付近の気候なども理解しやすくなります。
みなさんが複雑だと思っている海流の流れ方も実はたった3つの原則を覚えるだけで良いのです。
- 赤道上では東から西に流れる
- 北半球では8の字、南半球では反時計回り
- 大陸西岸では寒流が、高緯度から低緯度に向けて流れる
ただいきなりこんなこと言われても、理解できるわけないだろー!!!
ということで、みなさんが理解しやすいように順を追って解説していきます。
今回の記事を読めば、海流に関する基礎知識から流れのメカニズム、覚えなきゃいけない知識の覚え方までしっかり学ぶことができるので、必ず最後まで読んでいってください。
海流とは何か?暖流と寒流の見分け方は簡単!?
海流と言われても、あまり私たちの生活には馴染みのない言葉なので、どんな物かわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、まずは海流とは何かということから話していきます。
海流とは、簡単にいうと海の中で常に一定の方向に流れている海水の流れのことです。
海流というものは、海の中でとても大きな2つの循環を作っています。
- 風成循環:海面付近の風の影響を受けて生まれる表層流(吹送流)による循環
- 熱塩循環:海の極めて深いところで水温や塩分濃度の違いによって生じる超ゆっくりな深層流による循環
高校地理において重要なのは、風成循環を引き起こす表層流です。
熱塩循環についてはちょろっと触れている教科書もありますが、共通テストレベルではほとんど出題されないのでそんなに意識しなくても大丈夫です。
ですが、表層流に関する話はとても重要になってくるので、しっかりこの記事を読んで理解していきましょう!
さて、海流を語る上で必ずと言っていいほど出てくるのが、寒流と暖流というワードです。
というわけで、まずは寒流と暖流の違いについて理解していきましょう。
寒流は冷たい流れで、暖流は暖かい流れだということはじを見ればわかると思いますが、実はこの2つには明確な温度による区別はないのです。
では、何で区別しているのでしょうか?
正解は、周りの海水と比べて温度が高いか低いかです。
一般的に、低緯度の方が海面水温が高いというのはわかりますよね。赤道付近の気温が高いのと同じです。
なので難しいことを考える必要はなく、次のようなことが言えるのです。
- 暖流:低緯度側から高緯度側にかけて流れる海流
- 寒流:高緯度側から低緯度側にかけて流れる海流
このことだけ覚えておけば、その海流が暖流なのか寒流なのかは簡単に区別することができますね。
世界中の海流を海流図(地図)にまとめてみた!
暖流と寒流のちがいがわかったところで、実際に世界中の海流がどのように流れているのかを確認してみましょう。
世界中の海流は、この図のようになります。
赤い線が暖流で、青い線が寒流です。
こんなにたくさん海流があると、何をどう覚えればいいのかわからないですよね。
このあと海流がどのように流れているのかを解説するのですが、特に覚えておいて欲しい海流3つを紹介します。
- ペルー海流
- ベンゲラ海流
この二つの海流は、南半球を流れている寒流ですね。なぜこの2つの海流が重要なのかというと、この付近の気候は砂漠になるからです。
詳しいメカニズムは後ほど説明しますね。
- 北大西洋海流
こちらはヨーロッパ西岸を流れる暖流です。
この海流があるおかげで、ヨーロッパの国々は高緯度でも比較的暖かいというのがよく使われます。
これも詳しくは後ほど説明します。
海流が発生するメカニズムを詳しく解説!
さて、今回の記事で最も読んでもらいたい部分がこの解説です。
海流がどうやって発生するのかを知ることで、覚えやすさが段違いに簡単になります。
海の表面上の流れは海面付近の風の影響を受けるのはイメージできますよね。
ということは、考えたい地域でどのような風が吹いているのかに注目すればいいということです。
地球上で風がどのように吹いているかがまだわかっていない人はこちらの記事を読んでください。
北半球は2つの風に注目!
それでは具体的にみていきます。まずは、北半球から考えていきましょう。
次の図をみてください。
この図は、北半球の様子を簡単に図にしたものです。
大陸と大陸の間に挟まれた海域を考えます。
例えば、太平洋について考えたい場合は左側がユーラシア大陸、右側が北アメリカ大陸と言った感じですね。
番号順に見ていくとよりわかりやすくなります。
② その後西側の大陸にぶつかって北上していく。ある程度北上すると、中緯度帯(北緯40度付近から)で偏西風の影響を受けて東に流される。
③東側の大陸にぶつかり、2つに分かれる。さらに北上していくのがこの海流。
④ 北上しきると、逆回りになって低緯度に向けて戻ってくる。太平洋でいう親潮。
⑤ ②が大陸にぶつかって分かれたもう一方の海流がこの寒流。
重要なのは、北半球でメインとなる①②⑤の循環のように時計回りに海流が流れることです。
それに③④をプラスして北半球では海流は「8の字」に流れることを覚えておけば完璧です。
ちなみに、⑥この海流は赤道反流と呼ばれ、①の海流によって東西に水位の差ができるため、その差を埋めるために①と逆向きに流れる海流になります。
教科書では少しだけ紹介されている例外パターンですが、テストにはほぼ出ないため余裕のない人は無視してもオッケーです。
南半球はさらに簡単に理解!
北半球の流れがある程度理解できたところで、南半球に話を移しましょう。
南半球は北半球よりもさらに簡単に考えることができます。
この図のように、南半球では中緯度帯(南緯50度付近)に大陸がないため、偏西風の影響を受ける部分が1つの大きな流れとなります。
だから、さらに簡単になるのですね。
ということで、具体的に見ていきましょう。
まずは、北半球と同じように赤道付近からはじめます。
② 西側の大陸にぶつかり南下。
③ 偏西風の影響を受けた大きい流れに合流。
④ 東側の大陸に沿って分かれるように北上を開始し戻ってくる。
このように反時計回りをする大きな一つの流れが形成されるのです。
⑤は、北半球のところで説明した赤道反流ですね。
このような海流の動きに密接に関係している現象に「エルニーニョ現象」と「ラニーニャ現象」があります。
これらの現象については、次のページで詳しく解説しているので、気になる人は読んでみてください。
複雑な海流が簡単に理解できるたった3つの原則
北半球と南半球に分けて考えてきた海流の流れ方について、まとめます。
これから紹介する3つの原則を必ず覚えておいてください。
- 赤道上では東から西に流れる
- 北半球では8の字、南半球では反時計回り
- 大陸西岸では寒流が、高緯度から低緯度に向けて流れる
この原則を覚えれば、海流の流れ方は簡単ですね。
海流の影響を考えよう!
さて、世界中の海流がどのように流れているかがわかったところで、次はその海流が周りにどんな影響をもたらすかについて考えていきましょう。
この項目が終われば、なぜ海流が地理において大事なのかがわかるようになります。
暖流の影響
暖流とは、周りに比べて暖かい海流でしたね。
暖かいということは、水蒸気が発生し、上昇気流が発生します。つまり、雲ができやすく降水量が多くなるということです。
具体的な例を出すと、ヨーロッパの西側を北上する北大西洋海流が挙げられます。
この海流のおかげでヨーロッパは高緯度な割に温暖な海洋性気候を示すという重要な事実があります。
ノルウェーにあるナルヴィクという都市の港は、北緯70度付近とかなり高緯度の割に、温暖で一年中海が凍らない不凍港となっています。
寒流の影響
寒流では、暖流の逆で、水蒸気が発生せず降水量が少ないというのがポイントです。
その結果、付近を寒流が流れている地域は一年中降水量が少なく砂漠になってしまいます。
このようにしてできた寒くてとても乾燥している砂漠を海岸砂漠と呼びます。
北半球にもありますが、特に南半球にある2つの寒流を覚えておきましょう。
大陸 | 寒流名 | 砂漠名 |
南アメリカ大陸西岸 | ペルー海流 | アタカマ砂漠 |
アフリカ大陸西岸 | ベンゲラ海流 | ナミブ砂漠 |
この2つほど重要度は高くないですが、カリフォルニア海流も覚えておけば完璧です。
カリフォルニア海流はどこを流れているかというとアメリカの西岸ですね。
この海流のせいで、カリフォルニアも冷涼な砂漠となっています。
今回出てきた都市名や砂漠名などは自分で地図帳で位置関係を確認しておくと、より学習効果が高くなりますよ。
まとめ
今回は、地理の勉強でもかなり重要になってくる世界中の海流について学んできました。
- 海流は卓越風の影響を受け、大きな海水の循環を作っている
- 低緯度から高緯度に流れるのが暖流、その逆が寒流
- 赤道付近では東から西に向かって流れ、北半球では8の字、南半球では反時計回り
- 暖流は周りに雨を多く降らせ、温暖で湿潤な気候を作る
- 大陸西岸を流れる寒流の影響で、冷涼で乾燥した海岸砂漠が作られる
このようにちょっとボリュームのある内容になってしまいましたが、海流に関する知識はこれだけ覚えておけば通用します。
流れ方のメカニズムとその海流が周りに及ぼす影響を整理して覚えていきましょう。