気温の分布と較差についてまとめてみた! 難しい逓減率も解説!
地理の気候を考える上で、気温というのはとても大事な要素であることは皆さんわかりますよね。
しかし、気温の分布がどうなっているか? 年較差や日較差の法則は何か?
正確に答えらる人はあまりいないはずです。
そこで、今回の記事では大学受験地理の気温においてこれだけ覚えれば大丈夫というポイントを詳しくまとめました。
- 気温の分布を考える上で重要なのは、緯度・標高・大陸の西岸か東岸かの3つ。
- 気温の較差を考える上で大切なのは、基本的に緯度・隔海度の2つ。
これだけ知っても試験じゃ使えない!
そう思う人もいると思いますが、今回の記事では詳しく具体的に解説していきますので大丈夫です。
世界の気温の分布を考えよう!
まずは、全ての基本と言っても過言ではない気温の分布について地球規模で考えていきましょう。
冒頭で少し言ったように、ここで大事なのは緯度・標高・大陸の西岸か東岸かの3つです。
それでは、世界の平均気温を1月と7月で色分けした図を用意したので見ていきましょう。
まずは、1月です。
北半球、特にロシアの東部がかなり寒くなっていますね。
続いて7月です。
今度は、サハラ砂漠周辺がとても暑くなっていることがわかると思います。
後ほど詳しく原因などを解説していくので、この記事が読み終わる頃にはより理解が進むと思います。
この2つの地図には「熱赤道」というちょっと見慣れない用語がありますね。
熱赤道とは、平均気温が一番高い地点を結ぶようにしてできた線です。
赤道に近い低緯度の地域では、海より陸の方が温まりやすいので、普通の赤道に比べて曲がった形をしています。
ちなみに、年平均での熱赤道は、赤道よりも北半球側に少しずれた位置にきます。
これは、北半球の方が陸地が多いため、暑くなりやすいからです。
また、地図上の紫の線は等温線と言います。
等高線が同じ高さの地点を結ぶのと同じように、等温線は平均気温が同じ地点を結んでできた線になっています。
地図の説明はこれくらいにして、そろそろ本題に入っていきたいと思います。
緯度が一番基本!
平均気温を書き入れた先ほどの地図を思い出してください。
等温線はどのように入っていたでしょうか?
基本的には、地図上を真横に横切るように入っていましたね。
「地理の気圧帯は最重要!?恒常風と雨を理解するキーポイント!」の記事でも説明したように、赤道付近は太陽から受ける熱量が多く、逆に極に近くほど太陽から熱を受け取りづらくなるのでした。
これが、気温の分布を考えるときに最も基本になることです。
これに、さらに標高、海流、風などの影響を考えることで、より正確な分布を導くことができます。
気温の逓減率とは標高を考えればいい!
気温を考える上で、標高も重要な情報になってきます。
同じ日でも、東京と富士山の頂上ではもちろん気温は変わってきますよね。
皆さんの経験からも、標高が高くなればなるほど気温が下がるというのは想像つくのではないでしょうか。
地理の難しそうな用語で「気温の逓減率」というものがあります。
気温の逓減率とは、標高が上がるにつれて気温が低くなる割合のことを言います。
一般的には100m上昇すると0.65℃の割合で下がると言われています。
標高が高く、気温が同じ緯度に比べてもかなり低いという地域の気候のことを高山気候と言います。
高山気候については次の記事で詳しく説明しているので、読んでみてください。
大陸のどっち側に位置しているかが重要!?
最後に考えるのは、大陸の東岸にあるのか西岸にあるのかということです。
もういちど、1月の地図をみてみましょう。
ユーラシア大陸や、北アメリカ大陸に注目すると、等温線が右肩下がりになっていることがわかるのではないでしょうか。
これは、大陸の西岸は暖かく、東岸は冷たいということを示しています。
実は、このことも論理的に説明することができます。
ユーラシア大陸で考えてみましょう。
このように、大陸の西岸に位置しているヨーロッパでは、暖流によって海水が暖かく、その暖かさを偏西風が内陸まで運んでくるため、冬場でも比較的暖かくなっています。
逆に、大陸の東岸に位置する日本では、大陸側から寒い北西の季節風が吹いてくるため、とても寒くなります。
緯度を見てみると、暖かそうなイギリスも実は北海道よりも緯度が高いことが分かりますね。
これは、まさにイギリスが大陸の東岸に位置しているからなのです。
まとめると、
ということが言えると思います。
海流がどのように地球上を回っているかは、次の記事で詳しく解説しているので、わからない人は読んでみてください。
⇒⇒【地理の基本】世界の海流をたった3つのポイントで覚える方法!
[blogcard url=”juken-geography.com/systematic/ocean-current/]また、なぜ日本付近では冬に北西の季節風が吹くのかはこちらで詳しく解説しています。
⇒⇒季節風?モンスーン? 風向きをわかりやすく覚える1つの法則!
[blogcard url=”juken-geography.com/systematic/monsoon/]気温の較差って何者?
さて、世界中で気温がどのように分布しているのかがわかってきたところで、次は気温の較差について説明していきます。
気温の較差ってなんなのでしょうか?
なんか難しそうな響きがしますね。でも、実はいっていることはそれほど難しくはないのです。
較差とは、最大と最小の差のことを言います。
これだけでは分かりにくいと思うので、具体的にみていきましょう。
気温の年較差
まずは、年較差です。
1年で最も暑い月と、最も寒い月の平均気温の差が年較差になります。
これがわかってくると、雨温図やハイサーグラフの読み取りも簡単にできるようになってくるので理解しましょう。
気温の年較差について考えるときに重要なポイントになるのは、緯度・隔海度・大陸のどこに位置しているのか のたった 3つしかありません。
緯度
基本的に、低緯度の地域は年較差が小さく、逆に高緯度の地域では年較差が大きくなります。
これは、季節によって太陽から受ける熱エネルギーの量がどれだけ変化するかによって決まってきます。
地球の自転軸というのは少し傾いているため、季節によって太陽から受け取る熱エネルギーの量は変わりますよね。
赤道付近では、季節によって受ける熱量の差はそんなに生まれませんが、高緯度の地域になると差が大きくなってきます。
してがって、低緯度の地域は年較差が小さく、逆に高緯度の地域では年較差が大きくなるわけです。
隔海度
気温の年較差というのは緯度の他に、隔海度の影響も受けます。
隔海度とはなんなのでしょうか?
簡単に説明すると、その地域がどれだけ海から離れているかです。
なぜ、海からどれくらい離れているかが気温の年較差に関係してくるのかというと、
「季節風?モンスーン? 風向きをわかりやすく覚える1つの法則!」の記事でも説明したように、大陸は海に比べて温まりやすく、冷めやすいというのが原因になってきます。
つまり、内陸部では、夏は高温・冬は低温というように年較差が大きくなります。
シベリアとかは冬とても寒いですが、夏は15℃くらいまで気温が上がってくるので、年較差が大きいことが分かりますね。
このように気温の年較差が大きい気候のことを大陸性気候と呼びます。
逆に、海は大陸に比べて温まりにくく冷めにくいので、沿岸部にある地域では気温の年較差は小さくなりやすいです。
このように、気温の年較差が小さい気候のことを海洋性気候と呼びます。
大陸の西岸or東岸
先ほど、大陸の西岸は暖かく、東岸は寒いということを話したと思いますが、今度は、7月の気温分布をもう一度見てみましょう。
冬の気温差に比べて、夏の気温はそれほど変わってないですよね。
ということは、気温の年較差は大陸西岸で小さく、大陸東岸で大きくなるということが言えそうですね。
以上のことが理解できれば、気温の年較差に関してはマスターできたと言えます。
気温の日較差についても考えよう!
気温の年較差があったように、日較差というものも存在します。
気温の日較差というのは、1日の中で最高気温と最低気温の差ということですね。
こちらは、年較差ほど試験に出てくることはないですが、覚えておきましょう。
日較差を感げるときにポイントになることは、隔海度・植物の有無・天気の3つになります。
それでは順に解説してきます。
隔海度
まずは、隔海度です。これは、年較差の方でも扱ったで簡単ですね。
一年周期で見ても、1日周期で見ても考えることは同じですので、
- 内陸部:気温の日較差は大きい
- 沿岸部:気温の日較差は小さい
ということができます。
植物の有無
砂漠は、昼間はめちゃくちゃ暑いのに、夜になるとすごく寒くなるというのを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
これも、考えることは同じで、水と空気の比熱に着目すればいいのです。
砂漠は、森林に比べて水分が少なくなっています。
ということは、温まりやすく冷めやすい状況になっているわけです。
つまり、砂漠の方が気温の日較差は大きくなってしまうのです。
天気
最後に考えるのは、天気です。
結論を先に言ってしまうと、晴れている日の方が気温の日較差は大きくなります。
なぜ、晴れているときの方が日較差が大きくなってしまうのでしょうか?
それは、晴れている日は直射日光が射すので暖まりやすく、夜になると雲がないため地面付近の熱が大気中に逃げやすいからです。
反対に、曇っている日は、直射日光が射し込んでこないのでなかなか気温が上がらず、夜になっても熱が大気中に逃げにくいわけです。
ちなみに、冬場のよく晴れて風が強い日なんかは、地面近くの熱がより大気中に逃げやすくなり、地表近くが急速に冷えて、上空よりも地面の方が低温になることがあります。
この現象は「気温の逆転現象」といい、盆地で起きることが多く日本では甲府盆地などでおきます。
そのため、気温があまり低くならない斜面の上の方に果樹園や住宅を立てる場合が見られるのです。
このことも、ちょっと頭の片隅にでも入れておいてください。
このように、気温の日較差は隔海度・植物の有無・天気の3つに注目すれば理解できます!
気温のまとめ
世界中の気温について理論的に学ぶことができたのではないでしょうか。
それでは、気温について覚えるべき内容をまとめます。
気温の分布
- 緯度:低緯度→暑い、高緯度→寒い
- 高度:低い→暑い、高い→寒い
- 位置:大陸の西岸→夏は涼しく冬は暖かい、大陸の東岸→夏は暑く、冬は寒い
気温の年較差
- 高緯度>低緯度
- 内陸部>沿岸部
- 大陸の東岸>西岸
気温の日較差
- 内陸部>沿岸部
- 砂漠>森林
- 晴れ>曇り
今回の内容は、気候のことにも深くつながっていますし、共通テストでよく問われる内容なので、しっかりと理解していってください。