地理の風をまとめてみた わずか4種類覚えるだけでマスターできる!?
今回は、気候の3要素の一つである「風」について話していきます。
高校地理では多くの風が出てくるため混乱しやすいですよね。
高校地理で出てくる風というものは、4つに分類することができます。
- 恒常風:一年中同じ方向に向かって吹く風
- 季節風(モンスーン):季節によって風向きが変わる風
- 熱帯低気圧:日本でいう台風のように激しい風を発生させる
- 局地風:比較的狭い地域で発生する特徴的な風
複雑そうに感じる風ですが、たった4種類しかないと思えばラクそうですよね。
このように、きちんと分類していけば覚えやすくなります。
恒常風とは何か?
恒常風とは、地球上で一年中一定の方向に向かって吹く風のことで、北半球と南半球にそれぞれ3種類の恒常風が存在します。
- 貿易風:亜熱帯高圧帯から熱帯収束帯に向けて吹く風
- 偏西風:亜熱帯高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹く西風
- 極東風:極高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹く東風
この3つが恒常風です。
恒常風がどのようにしてできるのか、覚え方なども次の記事で詳しく解説しているので是非読んでみてください。
季節風の向きはどう覚える?
恒常風の次は、季節風です。
季節風とは、その名の通り季節によって風向きが変わる風のことです。
大陸と海での温度差によって気圧の差ができることで、季節風が吹きます。
季節風で覚えることは、次の2つです。
- 夏:海から陸に向けて吹き、雨をもたらす
- 冬:陸から海に向けて吹き、乾燥をもたらす
詳しくは、季節風の原理や覚え方など詳しく説明した次の記事を読んでみてください。
熱帯低気圧は発生する場所によって名前が変わる!?
恒常風、季節風は決まった風の動きですが、次に紹介する熱帯低気圧は、雨風を伴って移動してくる低気圧です。
日本に夏から秋にかけてやってくる「台風」は熱帯低気圧の一種です。
熱帯低気圧は、海面の水温が高く上昇気流が発達している低緯度帯でできます。
そして、できた低気圧がどんどん海面から水蒸気を吸い上げて大きくなると台風になります。
ちなみに、熱帯低気圧は発生する場所に応じて呼び方が変わります。
発生する場所と呼び名を次にまとめておくので参考にしてください。
名前地域台風北西太平洋ハリケーンインド洋・南太平洋サイクロン大西洋・北東太平洋
これらの熱帯低気圧を地図上にまとめてみます。
どの低気圧が、どこらへんで発生して、どこに向かって進んでいくのかを大まかに理解しておいてください。
熱帯低気圧が接近すると、気圧が低下するため、海面が吸い上げられて高潮と呼ばれる現象がおきます。
高潮は、海抜の低い地域に大きな被害をもたらすので、そのことも覚えておきましょう。
熱帯低気圧に関しては、これだけ覚えておけば大丈夫です。
局地風で大切なのはたった5種類!
さあいよいよ風の学習も最後まできました。
ここまできたら、もう終わりも見えているのでがんばっていきましょう!
まずは、局地風とは何かということから説明していきます。
局地風とは、特殊な名前が付けられている地域性の強い風です。
なぜ、局地風が吹くかというと、恒常風や季節風、地形の影響などが原因になっています。
局地風はたくさんありますが、共通テストに出てくるレベルでは、次の5つの風を覚えておけば大丈夫です。
ということで、整理していきます。
名称 | 季節 | 地域 | 特徴 |
やませ | 梅雨・夏 | 東北地方の太平洋側 | 冷・湿 |
フェーン | 春から夏 | アルプス山脈 | 熱・乾 |
シロッコ | 春 | サハラ砂漠→イタリア南部 | 熱・湿 |
ボラ | 秋から冬 | アドリア海 | 寒・乾 |
ミストラル | 冬 | ローヌ川(フランス南部) | 寒・乾 |
「やませ」以外は、地中海沿岸に吹く風なので、地図上でも確認しておきましょう。
地図で確認できたところで、それぞれの風の特徴を説明していきます。
この中で一番大事なのはフェーンという風です。
時間がなくて5つも覚えることできないぜっていう人もいるかと思います。
そんな人も、フェーンだけは完璧に覚えるようにしてください。
ぶっちゃけ、フェーン 以外の局地風はこんな風があるんだくらいの感覚でもいいですが、フェーンはちゃんと原理まで覚えておく必要があります!
やませは東北地方に冷害をもたらす!
「やませ」という風は、中学校の地理でも出てくると思うので、知っている人も多いと思うのですが、軽く説明しておきます。
初夏にこのように東北地方の太平洋側に吹いてくる風のことですね。
通常日本では、夏になると季節風が南東方向から吹いてきて、高多湿な気候になります。
しかし、夏になっても日本の北の海にいるオホーツク海気団の勢力が弱まらないことがあります。
そうなると、オホーツク海気団からとても冷たい空気が吹き出して、日本にやってくるのです。
そして、東北地方の太平洋側に直撃する、これが「やませ」の正体です。
やませが東北地方に吹くと、お米が取れなくなるという被害(冷害)を受けます。
東北地方は、日本の中でも有数の米の生産地なので、大変なのです。
やませ はこれくらいわかっていれば十分です。
フェーンは乾燥している!
フェーンとは、簡単に説明すると、アルプス山脈を超えてドイツやスイスなどの中央ヨーロッパに吹く乾燥した風のことです。
乾燥している上に、南風ということで熱いため、山火事を引き起こすことがあるので、あまりよくない風です。
フェーンという風は、かなり重要なので、別の記事で解説しています。
フェーン現象とは何か、フェーン現象の原理などを詳しく解説しているので、是非読んでみてください。
シロッコはどんな風?
シロッコとは、春先に地中海からイタリア南部に向けて吹いてくる高温多湿な風です。
シロッコは、亜熱帯高圧帯に位置しているサハラ砂漠(暑くて乾燥している)から、地中海を超えてやってくるのですが、
地中海を超えるときに海上の水分をたっぷりと吸い上げてくるので、蒸し暑くなってしまうのです。
ジメジメしていて暑いなんて最悪ですね。また、こいつは砂嵐を伴ってくることもあるので厄介です。
ボラは冷たい風!
ボラという風は、秋から冬にかけてディナルアルプス山脈からアドリア海に向けて吹いてくる風です。
北から吹いてくるのでとても寒く、山脈を超えてくるため、乾燥しています。
ボラが吹いてくるため、クロアチアの内陸などは冬かなり寒くなるわけですね。
局地風の最後はミストラル!
ミストラルは、冬にアルプス山脈からフランス南部に向けて吹く風です。
ボラと原理はほぼ同じで、吹く場所が違うだけだなと意識しておけば大丈夫です。
ボラと同じで内陸である山脈から吹いてくる北風なので、寒冷で乾燥しています。
地理ででてくる風のまとめ
今回の記事では、高校地理ででてくる風を分類してまとめてみました。
- 恒常風:一年中同じ方向に向かって吹く風
貿易風・偏西風・極東風の3種類 - 季節風(モンスーン):季節によって風向きが変わる風
夏は海→陸、冬は陸→海 - 熱帯低気圧:低緯度帯でできて、激しい雨風を発生させる
台風・ハリケーン・サイクロン - 局地風:比較的狭い地域で発生する特徴的な風
やませ・フェーン・シロッコ・ボラ・ミストラルの5種類
これさえ覚えてしまえば、共通テストででてくる風は完璧と言えるので自信を持ってください。
また、今回の記事では、大まかにまとめてしまったので、途中に書いてある関連記事に目を通すとより理解が深まると思います。
このように整理して覚えていくことで、頭に定着しやすくなるので、しっかり復習していきましょう!
Comment
シロッコは、砂塵を運んでくる、と書いていますが、ミストラル、ボラは何も運んでこないのでしょうか。湿潤な空気、乾燥した風、どの様に違ってくるのでしょう。
シロッコは、サハラ砂漠の上空を通ってくるので、サハラ砂漠の砂を巻き上げます。
なので、今回紹介した他の局地風と比べて砂塵を運んでくるという特徴があるわけです。
ミストラルやボラよりもシロッコのほうが砂を運んでくると思ってください。
湿潤な風、乾燥した風は、その地域の湿度に関係してきます。
湿潤なシロッコが吹いてくると湿度が上がり、ジメジメしてくるという感じです。