エルニーニョ現象とは? ラニーニャ現象との違いもわかりやすく解説!

どうも、ひろです。
今回は、エルニーニョ現象について解説していきたいと思います。


エルニーニョ現象は、教科書ではあまり詳しい解説がされていないので、難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
しかし、きちんと何が起きているのかを考えていけば、意外に簡単に理解できる現象です。
テストで急に出題されても混乱しないように、ここで考え方を身につけていってください。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象ってどんな現象?
そもそも、エルニーニョ現象やラニーニャ現象とはどのようなものなのでしょうか。
これらの現象は太平洋東部、南米大陸の西岸の海水温の変化を表しているものです。
通常、太平洋上の海水というものは、東側は寒流、西側は暖流が流れています。
なぜこのように海流が流れているかは、『【地理の基本】世界の海流をたった3つのポイントで覚える方法!』を参考にしてください。
また赤道付近は貿易風が吹いているため、温かい海水は東から西に向かって移動してきます。
なので、普通は太平洋の東側は水温が低く、太平洋の西側は水温が高めになっています。
エルニーニョ現象
エルニーニョ現象とは、南米大陸西岸のペルー沖の海水温が例年よりも異常に上昇する現象のことです。
南米のペルーやチリの沖合には、ペルー(フンボルト)海流と呼ばれる寒流が流れています。
そのため、普通は冷たい水に生息しているアンチョビなどの魚がよく取れます。
夏(南半球なので12月頃)のあるとき、海水温が高くなり、低緯度に生息している魚がペルー沖までやってくることがありました。
ペルーに住んでいた昔の人々は理由はよくわからないけど、いつもは取れない珍しい魚が取れるということは、きっと神の恵みに違いないと思ったわけです。
クリスマスも近いし、スペイン語で神の子(キリスト)を意味する「エルニーニョ(El Niño)」と呼ぶことにしました。
ストーリーに多少の脚色を加えているので、完全に事実ではないですが、大まかな命名理由はこんな感じです。
ラニーニャ現象
エルニーニョ現象が太平洋東部の海水温が上がるのに対して、ラニーニャ現象は南米大陸西岸のペルー沖の海水温が通常に比べて下がる現象のことを言います。
エルニーニョ(El Niño)はスペイン語で「男の子」という意味もあるのですが、その反対ということでスペイン語で「女の子」という意味のあるラニーニャ(La Niña)が使われるようになったそうです。
この2つですが、どっちがどっちか紛らわしいですよね。
というわけで、簡単に覚えられる方法を伝授します。
「エ」ルニーニョ、「ラ」ニーニャ どちらも頭文字に注目します。最後に向いている方向が暖水が移動する向きです。
エルニーニョ現象は暖水が東に移動する現象、ラニーニャ現象は暖水が西に移動する現象と文字と対応づけて覚えてしまいましょう。
エルニーニョ現象のメカニズムを解説!
共通テストでは思考力が問われるので、どんな現象かだけ暗記しているだけでは不十分です。
なので、なぜこのような現象が起こるのかメカニズムを考えて理解を深めていきましょう。
ラニーニャ現象は、エルニーニョ現象の逆を考えればいいので、今回はエルニーニョ現象に絞って考えます。
そもそも太平洋上は、通常時から東側は水温が低く、西側は水温が高いのですが、これはなんででしょうか?
貿易風が東から西に吹いているので、それに伴って海の表面付近にある温かい水が流されるのでしたね。
つまり、なんらかの原因で貿易風が弱まってしまうと、東側の熱が西側に思うように移動されなくなってしまうわけです。
これが、エルニーニョ現象の直接の原因になります。
ラニーニャ現象はこれの逆で、貿易風が強くなってしまうのが原因になります。
この2つの現象は表裏一体な関係で、大体交互に起きるらしいです。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象の影響は?
エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、ペルー沖で発生するものだとお話ししてきましたが、実はこれらの現象は遠く離れた日本の天候にも影響を及ぼします。
このように、ある地域の現象が遠く離れた別の地域の異常気象をもたらしたりする相互関係のことをテレコネクション(遠隔相関)というのですが、どのような影響が起きるのか理解していると何かと便利なのでちょっと考えていきましょう。
エルニーニョ現象の影響
エルニーニョ現象が起きると、いくつかの異常気象が地球上の様々なところで観測されます。
具体的には、次のようなものです。
- アメリカ西部で多雨、東部で少雨
- 東南アジアで高温少雨
- 赤道太平洋中部では多雨
- オーストラリア、アフリカで少雨
- 日本付近は冷夏暖冬、梅雨明けが遅れる
このように様々な影響が起きますが、ぶっちゃけ全部覚える必要はありません。
そもそも、原因も大気循環が普段と異なるから起こるわけですが、複雑なので完璧に理解しようとすると大変です。
一応2つだけメカニズムを説明しておきます。
東南アジア
貿易風が弱いので、暖水が東側に移動してしまうのでした。
海水が温かいところは、上昇気流が生じ、雲ができます。
暖水の移動に伴って、この雲も東側に移動してしまいます。
こうなると東南アジア付近から雲が遠ざかってしまい、降水量が減ってしまうわけです。
日本付近
地球上の大気循環はつながっているため、赤道付近の雲が東に移動するのと連動して、日本がある中緯度地域でも、気圧が通常よりも東寄りに移動してしまいます。
- 梅雨・夏
このように、太平洋高気圧が普段よりも東に移動してしまいます。
太平洋高気圧が梅雨前線を押し上げ流ことで、梅雨が明けるのですが、エルニーニョ現象が起きている時は太平洋高気圧の日本への張り出しが弱いため梅雨が明けるのが遅くなってしまうのです。
また、夏も太平洋高気圧が平常時よりも東側にずれてしまっているので、影響が届きにくく、冷夏になりやすくなります。
- 冬
冬は、東南アジア付近の海水温が影響してきます。
エルニーニョ現象のときは、いつもより暖水が東の方によってしまっています。
ということは、東南アジア付近ではいつもより海水温が高くならず、上昇気流の発生が抑えられてしまいます。
つまり、いつもよりも太平洋高気圧が発達します。
その結果、日本付近まで高気圧が伸びてきて、北側の冷たい空気を運んでくるシベリア高気圧を押し上げるのです。
これによって、シベリアからの冷たい空気が日本に届きづらくなり比較的暖冬になります。
エルニーニョ現象が起きるとどのような影響が出るのかわかったでしょうか?
ラニーニャ現象はこれと全く逆のことが起こるので、エルニーニョ現象と影響も逆になると考えておけばいいです。
エルニーニョ現象・ラニーニャ現象のまとめ
いかがだったでしょうか?
一見理解しにくい現象かと思いきや、順番に理屈を追っていけば意外とわかりそうですよね。
というわけで、最後にエルニーニョ現象とラニーニャ現象についてまとめておきます。
エルニーニョ現象
- 貿易風が弱まり、南米西岸ペルー沖合まで断水が広がる
- 世界各地で様々な異常気象が発生しがち
ラニーニャ現象
- エルニーニョ現象と逆のことが起こる
海水温が上下するだけかと思いきや、大気の状態も変化してしまって、様々な影響が出てきてしまうのです。
特に、異常気象は各地に洪水や干ばつなどの自然災害を引き起こす要因になります。
自然災害と関連づけてテストで出題される可能性もある分野なので、しっかりと理解していってくださいね。