地理の熱帯についてまとめてみた!2つのポイントで簡単に攻略!?
今回は、熱帯の特徴をまとめていきたいと思います。
熱帯の中には、熱帯雨林気候・熱帯モンスーン気候・サバナ気候の3種類がありますよね。
複雑そうに感じるかもしれないかもしれませんが、ある2点に注意すれば意外とスムーズに覚えられるのです。
それは、共通点と相違点です。
熱帯の気候区分を個別で見ていくことも大事ですが、まとめて共通点や違いを確認していくとより理解が深まります。
というわけで、実際に熱帯の特徴を整理していきましょう!
熱帯の定義を確認しよう!
熱帯とはどのような気候なのでしょうか?
受験テクニックを紹介する前に、まずは定義から確認していきましょう。
- 気温:最寒月平均気温18℃以上
という条件でしたね。
一年で最も寒い月でさえ平均気温が18℃を超えるわけですから、かなり暑い地域だと分かりますね。
さらに、熱帯の中には
の3つの気候区分がありましたよね。
各気候区分をより詳しく知りたい方は、別記事で詳細に解説しているのでクリックしてみてください。
この3種類の気候区分の区別の仕方を確認しておきましょう。
Af, Am, Aw は何が違うかというと、雨の降る量です。
年降水量をx (mm), 最少雨月の降水量をy (mm)としたとき、
- y≧60 ならば、Af
- y<60 で y≧100−0.04x ならば、Am
- y<60 で y<100−0.04x ならば、Aw
これが、厳密な定義式です。
でも、こんな難しい式を言われてもイメージがつかないですよね。
というわけで、分かりやすく図解してみました。
こんなふうに図にすると、少し分かりやすくなりますね。
でも、ぶっちゃけ共通テスト対策としては、ここまで厳密な定義を覚える必要はないです。
この図の中で特に覚えておいて欲しいところをまとめます。
- 熱帯雨林気候(Af)は年中降水があり、最も雨が降らない月でも月に60mm以上の降水がある
- 明確な乾季があればサバナ気候(Aw)、弱い乾季があるところは熱帯モンスーン気候(Am)
この2点に気をつけておけば、熱帯の気候区分は大丈夫です。
それでは熱帯の各気候区分における、気温と降水量についてまとめます。
気候区分 | 気温 | 降水量 |
熱帯雨林気候 (Af) | 最寒月平均気温18℃以上 | 最少雨月降水量60mm以上 |
熱帯モンスーン気候 (Am) | 最少雨月降水量60mm未満、年降水量が多い | |
サバナ気候 (Aw) | 最少雨月降水量60mm未満、明確な乾季あり |
どうでしょうか?
年中高温なのはどの気候区分も同じですが、雨の降り方がそれぞれ違うのですね。
降水量によって、Af, Am, Aw は区別されているということを意識しておきましょう。
熱帯の特徴は?
熱帯の細かい定義も確認できたところで、いよいよテストに直結する特徴をみていきましょう。
3つの細かい気候区分がありましたが、熱帯という同じ枠組みに属している気候区分なので、何かと共通点があります。
今回は、共通点と相違点をまとめていくので、それを意識しながら勉強を進めてみてください。
熱帯の植生!
まずは、熱帯地域に生える植物、植生についてみていきましょう。
基本的に、熱帯というのは低緯度にあって年中気温が高く降水量もあるため植物は育ちやすい気候になっています。
ですが、サバナ気候は明確な乾季があると話したように、乾燥が強くなると植物はなかなか育つことができなくなってしまうので、キーポイントは乾燥だと言えそうですね。
3つの気候区分で降水量が違うので、そこに着目して考えていきましょう!
熱帯雨林気候
- 熱帯雨林:ジャングル(東南アジア、アフリカ)、セルバ(アマゾン川流域)
- マングローブ(沿岸部)
熱帯モンスーン気候
- 雨緑林(落葉広葉樹からなる)
- マングローブ(沿岸部)
サバナ気候
- 疎林(バオバブ、アカシア)
- 長草草原:サバナ(アフリカ)、リャノ(オリノコ川流域)、カンポ(ブラジル高原)、グランチャコ(パラグアイ周辺)
このように、熱帯雨林気候からサバナ気候になるにつれて、木々の高さが低くなり、まばらになっていきます。
より詳しく知りたい人は、個別に解説しているページを見てみてください。
熱帯の土壌!
熱帯の土壌に関しては、どこの気候区分もそれほど変わらないので覚えることは至ってシンプルです。
基本はラトソル!
熱帯全体に共通して言えることですが、土壌はラトソルと呼ばれる土が分布しています。
ラトソルとは、どのような土なのでしょうか?
- 色:赤色
- 栄養分:少なくやせている
- 性質:酸性
熱帯雨林が生い茂っているところもあるのに栄養分が少ないなんてちょっと意外ですよね。
でも、これにもちゃんと理由があります。特徴は熱帯の気候を考えればすぐに理解できるはずです。
熱帯地域は、高温のため土壌の中にある栄養分が普通より早く分解されてしまうのです。
さらに、熱帯雨林などではものすごく雨が降ります。
その雨が、土の中の栄養分である有機物をほとんど流してしまうのです。
その結果、アルミニウムや鉄などの水に溶けにくい物質だけが残り、酸化されるため赤色で酸性の土壌が出来上がるのです。
ちなみに、なぜやせた土壌なのに熱帯雨林ではジャングルが生い茂っているのかというと、たくさんの木から落ちてくる大量の落ち葉などが分解されて栄養分になるからです。
でも、この栄養分はあまり土の中に吸収されないため、一度ジャングルがなくなってしまうと元に戻すことが難しくなるわけです。
このようにアルミニウムを多く含んだラトソルが分布しているので、アルミニウムの原料であるボーキサイトがよく生産されます。
と覚えてしまいましょう!
一部特殊な土壌がある!
基本的には、熱帯雨林からサバナまでラトソルが分布しているのですが、サバナ気候の一部には特殊な土壌があります。
間帯土壌と呼ばれるもので、その土地の気候に関係なく分布しているので、個別に覚える必要があります。
間帯土壌については下の記事で詳しく解説しているので、是非読んでみてください。
今回は、サバナ気候にある2つの間帯土壌についてまとめます。
- レグール(玄武岩が風化した黒色の土壌):デカン高原→綿花
- テラローシャ(玄武岩が風化した赤紫色の土壌):ブラジル高原→コーヒー
この2つの土壌は、熱帯では珍しくとても肥沃な土壌なので、作物がよく育てられます。
デカン高原の綿花とブラジル高原のコーヒーについてはしっかり覚えておきましょう。
それでは、熱帯の土壌についてまとめます。
基本的にはやせたラトソル
サバナ気候だけ肥沃な土壌があるところがある
- レグール(デカン高原)
- テラローシャ(ブラジル高原)
熱帯の農業は?
熱帯の土壌と植生を確認することができたので、農業についてもみていきましょう。
熱帯の農業というのは、次の2種類覚えてその中の具体的な作物を覚えていけばいです。
- 時給的農業:昔からある自給自足的な農業
- 企業的農業:近年行われるようになった儲けを追求する大規模な農業
企業的農業は、全てプランテーション農業なので作物だけ覚えましょう。
それでは、覚えるべき農業と作物をまとめていきます。
熱帯雨林気候(Af) | 熱帯モンスーン気候(Am) | サバナ気候 (Aw) | |
時給的農業 | 焼畑:イモ類 | 稲作(アジア) | 稲作(アジア) |
企業的農業 | 油やし、バナナ、カカオ、天然ゴム | サトウキビ、茶、ココヤシ | 綿花(デカン高原)、コーヒー(ブラジル高原) |
個別記事に詳しい覚え方なども書いてあるので、もっと知りたい人は個別記事を参考にしてください。
熱帯の分布はどうなっているのか?
さて、熱帯の特徴を一通り学習できたと思うので、どのように分布しているかも確認していきましょう。
こうしてみると、基本的に南北の回帰線の間に分布していることが分かりますね。
回帰線とは、上の地図ではオレンジの点線で書いてある南北23度26分の線のことです。
南北夏至と冬至のときにちょうど太陽が真上に来る地域を結んだのが回帰線になっています。
分布を大まかに示すと、
赤道から外側に向けて、Af→Am→Aw
となっていると言えると思います。
具体的にAf, Am, Aw がどのように分布しているか知りたい人は個別で解説している記事を見てくださいね。
◎熱帯雨林気候について詳しく知りたい人
⇒⇒熱帯雨林気候 (Af)の特徴と国を解説!覚えることは実は2つだけ!?
◎熱帯モンスーン気候について詳しく知りたい人
⇒⇒熱帯モンスーン気候(Am)とは!? 特徴を簡単に覚える方法!
◎サバナ気候について詳しく知りたい人
⇒⇒サバナ気候(Aw)の特徴とは?具体的な国名もたった1つのポイントで攻略可能!
それでは、雨温図に入っていきましょう!
熱帯の雨温図は?
さて、熱帯の分布を確認することができましたね。
熱帯の気候を攻略するには、雨温図の見極め方をマスターする必要があります。
ここでは、熱帯に属する3つの気候区分の雨温図を具体的に見分ける方法をご紹介します。
雨温図を見分けると言っても、気をつけなきゃいけないポイントはたった2つしかないので簡単です。
雨温図を判断する2つのポイント!
雨温図を判断するためには、気温と降水量に着目する必要があります。
まずは気温!
まずは、その雨温図が熱帯の地域かどうかを判定しなくてはいけません。
熱帯の定義を思い出してみましょう。
- 気温:最寒月平均気温18℃以上
という条件でしたね。
ということは、気温が18℃のラインに線を引いて、そのラインを下回る月がないか確認すればいいですね。
降水量で詳しく分けよう!
気温が18℃未満になる月がないことを確認したら、より詳細な気候区分に分ける作業に入っていきます。
熱帯の中の3つの気候区分は、それぞれ降水量で区別されていましたよね。
年降水量をx (mm), 最少雨月の降水量をy (mm)としたとき、
- y≧60 ならば、Af
- y<60 で y≧100−0.04x ならば、Am
- y<60 で y<100−0.04x ならば、Aw
という条件でした。
つまり、降水量が60mmになるラインに線を引いて、その線より少なくなる月がなかったらAf。
もし、その線より少なくなる月があったら、AmかAwになりますね。
最少雨月の降水量を見て著しく少ない月があったらAw。
そこまでではなかったら、Amです。
上に厳密な式を書きましたが、ぶっちゃけ共通テストレベルではそこまで紛らわしい判断を求められることはほぼないので、最少雨月の降水量が著しく少ないかどうかを見れば十分です。
それでは、具体的に見てみましょう。
- シンガポール (Af)
まずは、熱帯雨林気候に属するシンガポールです。
シンガポールは典型的な熱帯雨林気候ですね。
この雨温図をみてわかるように、気温は全ての月で18℃以上。降水量も60mm以上。
このように、2本の線を引いてみてその線より上であることを確認していけばいいので、熱帯雨林気候は比較的簡単に見抜けそうですよね。
- マイアミ(Am)
熱帯モンスーン気候の代表例は、マイアミです。
教科書などでもよく取り扱われるため、マイアミは知っておいた方がいいですね。
もちろんマイアミも熱帯ですから、毎月の平均気温は全て18℃以上になっています。
降水量ですが、雨温図を見てみると12, 1, 2月がわずかに60mmに届いていませんね。
ということは、著しく少ないわけではないのでマイアミはAmと判断できます。
- ダーウィン(Aw)
最後に確認するのは、サバナ気候に属するダーウィンです。
こちらは、平均気温はしっかり毎月18℃を超していますが、降水量が5〜9月はまったく60mmに届いていませんね。
この雨温図をみると、最少雨月(6月)がほぼ0mmなので、著しく少ないと言えるでしょう。
ということは、ダーウィンはサバナ気候であると判断できるわけです。
具体的な雨温図を見てみよう!
読み取り方を攻略したところで、熱帯に属する代表的な都市を一気に確認していきましょう。
雨温図は、実際に見て考えた分だけ試験で生きるので、ここで確認していくと受験でより有利になります。
この地図を見ながら、位置関係と雨温図を対応づけて見ていきましょう。
熱帯雨林気候(Af)
まずは、熱帯雨林気候です。
- シンガポール
- クアラルンプール(マレーシア)
- コロンボ (スリランカ)
- イキトス(ペルー)
- マナオス(ブラジル)
熱帯雨林気候で全体を通して言えることは、基本的に赤道直下の地域が多いので、気温の年較差がとても小さいことです。
つまり、平均気温を表したオレンジの線は、どの地域も直線的になっているということです。
また、イキトスやマナオスは南半球側に位置しているため、南半球が冬になる7〜9月が雨が少なくなっています。
熱帯モンスーン気候 (Am)
熱帯雨林気候の次は熱低モンスーン気候です。
そもそも、Amに属する地域が少ないので、具体的な都市名を覚えておくと便利です。
- マイアミ(アメリカ)
- ゴア(インド)
マイアミは典型的な熱帯モンスーン気候の雨温図をしていると判断することができると思いますが、ゴアはちょっと難しいかもしれませんね。
一見すると、ゴアは12〜4月がとても降水量が少なくなっていますね。
これではサバナ気候なのではないかと思うはずです。
しかし、年間降水量に注目してください。6, 7月にかなり雨が降っているため、年間降水量は2800mmを超えています。
この記事の最初の方で条件を確認したと思いますが、年間降水量が2500mmを超えていると最少雨月の降水量が0mmでもAmになるのです。
このように、熱帯モンスーン気候の雨温図にはちょっと特殊なパターンがあるので紹介しました。
サバナ気候(Aw)
最後は、サバナ気候ですね。
- バンコク(タイ)
- コルカタ(インド)
- ダーウィン(オーストラリア)
- アビジャン(コートジボワール)
- サンホセ(コスタリカ)
- ブラジリア(ブラジル)
こうして並べて見てみると、サバナ気候というだけあって最少雨月の降水量はかなり少なく、しっかり乾季が到来する気候であることが容易に分かりますね。
この雨温図の中で注目すべき点は、
基本的に夏に雨が多く降って、冬は乾燥するということ。
コルカタはサバナ気候にしてはちょっと高緯度に位置しているため、ほかの雨温図よりも気温の年較差が大きくなっていること。
また、南半球側にあるダーウィンとブラジリアは季節による影響が北半球とは逆になっていること。
ブラジリアは、ほかの年に比べて標高が高いため、この中では気温が低めになっていること。
アビジャンは、8, 9月に小乾季と呼ばれる物が訪れ、年に2回ずつ雨季と乾季が来ること。
(理由はサバナ気候の記事『サバナ気候(Aw)の特徴とは?具体的な国名もたった1つのポイントで攻略可能!』の中に書いてあります。)
この5つを意識しておけば完璧ではないかと思います。
熱帯のまとめ
さて、今回は熱帯の特徴について横断的にまとめてみました。
詳しい気候区分の話は個別記事を見ていただくとして、分布や雨温図など総まとめができたのではないでしょうか。
ということで、熱帯についてまとめます。
定義:最寒月平均気温18℃以上
- Af:最少雨月の降水量60mm以上
- Am:最少雨月の降水量60mm未満、弱い乾季が来る
- Aw:最少雨月の降水量60mm未満、著しい乾季が来る
分布:基本的に赤道から南北20度の範囲
- 赤道直下から高緯度に向けて
Af→Am→Aw
特徴
Af | Am | Aw | |
植生 | 熱帯雨林・マングローブ | 雨緑林・マングローブ | 疎林・長草草原 |
土壌 | ラトソル | ラトソル+レグール・テラローシャ | |
時給的農業 | 焼畑(芋類) | 稲作 | |
プランテーション農業 | 油やし・バナナ・カカオ・天然ゴム | サトウキビ・茶・ココヤシ | 綿花・コーヒー |
熱帯には、3つの気候区分がありますが、特色が同じところもあるので関連づけて覚えていくと、より記憶が強くなります。
より詳しい解説記事はこちらから飛ぶことができます!
◎熱帯雨林気候について詳しく知りたい人
⇒⇒熱帯雨林気候 (Af)の特徴と国を解説!覚えることは実は2つだけ!?
◎熱帯モンスーン気候について詳しく知りたい人
⇒⇒熱帯モンスーン気候(Am)とは!? 特徴を簡単に覚える方法!
◎サバナ気候について詳しく知りたい人
⇒⇒サバナ気候(Aw)の特徴とは?具体的な国名もたった1つのポイントで攻略可能!
◎ケッペンの気候区分についてより詳しく知りたい人
⇒⇒【まとめ】地理のケッペンの気候区分をたった4ステップで覚える方法
というわけで、今回はこれで終わりにします!