【サンゴ礁地形】裾礁、堡礁、環礁の違いをわかりやすく解説してみた!

どうも、ひろです。
今回は、サンゴ礁がつくる地形について解説していきます。


サンゴ礁が作る地形で覚えなければいけないのは3種類あるのですが、順を追って理解していけば簡単です。
サンゴ礁とは?
そもそもサンゴ礁とはなんでしょう。
実は、サンゴには2種類のタイプがあります。
- 宝石サンゴ
水深100メートルよりも深い海底に生息し、枝状に成長するサンゴ
- 造礁サンゴ
浅い海に生息し、サンゴ礁を作り出すサンゴ
サンゴは実は動物です。
しかし、今回注目する造礁サンゴは、体内に共生している褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる藻類が光合成を行ってエネルギーを作り出しています。
光合成をしなければいけないので、浅い海に生息しているのです。逆に、宝石サンゴの方は体内に藻類はいません。
ここから先は、宝石サンゴの話題は出てこないので、造礁サンゴのことをただ単にサンゴと言うことにします。
このような浅い海底に住んでいるサンゴや石灰藻類といった生物がつくる石灰岩が積み重なってできるのがサンゴ礁というわけです。
石灰藻類とは、体内に石灰質の骨格や殻をもつ藻のこと
ちょっと難しい話だったと思いますが、要するに、サンゴ礁はサンゴが作った石灰岩が積み重なってできたものなんだなと思っていただければ大丈夫です。
石灰岩は炭酸カルシウムが主成分なので、サンゴ礁が隆起したりして陸地になるとカルスト地形がみられることがあります。
さてそんなサンゴ礁ですが、サンゴ礁が発達するには条件が3つあります。
- 海水温が高い(18℃〜28℃)
- 海水の透明度が高い
- 水深が浅い
さらに、温度も重要で18℃以上でないと生息できません。欲を言えば、25℃〜28℃が最適らしいです。しかし、30℃を超えると死滅してしまうというとても繊細な生物なのです。
サンゴ礁の種類
サンゴがどのような環境で育つのかがわかったところで、どのようにサンゴ礁が発達していくのかを考えていきましょう。
実は、サンゴの発達具合によって、裾礁・堡礁・環礁と呼び名が変わっていくのです。サンゴ礁がどのように発達していくのかという考えは、イギリスのダーウィンが提唱しました。
裾礁(きょしょう)
島や大陸の沿岸を縁取るように発達したサンゴ礁を裾礁と言います。「裾」とは、すそのことなので、中央島のすそにサンゴ礁がくっついている形を考えれば一発で覚えられますね。
これは、フランス領ポリネシアのモーレア島の航空写真です。
島を取り囲むようにサンゴ礁が発達している様子がわかるのではないでしょうか。
裾礁は、日本の南西諸島でも見ることができます。
堡礁(ほしょう)
堡礁は、地盤の沈下や海面の上昇によって、サンゴ礁と中央島の間に礁湖(ラグーン)ができた状態です。「堡」は砦という意味がある漢字で、島の周りを守っている砦のイメージになっています。
英語ではバリアリーフと言います。オーストラリアのグレートバリアリーフが有名ですね。
サンゴにとっては、海面が上昇してしまうと、光合成ができなくなってしまうので、上に向かって成長していくというわけです。
中央の島とサンゴ礁の間に礁湖があるのがわかりますね。
礁湖は、魚介類にとっては良い住処なので天然の良港となります。
環礁(かんしょう)
さらに地盤の沈下が進み、中央島が完全に沈没してしまうと、周囲を囲んでいたサンゴ礁のみが海面に顔を出している状態になります。
これが環礁です。「環」は、輪っかという意味があるので、海面にポッカリと環状のサンゴ礁が存在しているイメージで覚えましょう。ちなみに、英語ではアトールと言います。
大規模なサンゴ礁では、この上が生活圏になることもあります。
これはニュージランド領アタフ島の様子です。
真ん中がぽっかり穴が開いてしまっている様子が確認できますね。
ちなみに堡礁も環礁も日本では見ることができません。
サンゴ礁の分布
サンゴ礁がどのように分布しているのかを考えてみましょう。
海水温が高く、水が綺麗で、水深が浅い場所にしかサンゴは生息できないのでしたよね。
そうすると、サンゴ礁は主に北緯20度〜南緯20度あたりにしか生息していないことになります。
地図をみてみると、予想通り赤道付近に多く分布していることがわかると思います。
アフリカ大陸や南アメリカ大陸の西岸にはサンゴ礁が分布していないのは、ベンゲラ海流やペルー海流といった寒流が沿岸を流れていて、海水温が十分に上がらないからです。
なんで大陸の西岸には寒流が流れているのかという話は、次の記事を読むと納得できると思います。
サンゴ礁の分布を完璧に覚える必要はないですが、海流と知識をリンクさせて覚えておけば、テストで出てきても迷わずに解くことができます。
サンゴ礁が抱える環境問題
サンゴはとても繊細な生物なので、環境の変化が問題になることもあります。
特に温暖化の影響を受けてしまいます。
サンゴは水温が30℃を超えると、体内に共生している共生藻を失って白くなってしまいます。これを白化現象といいます。
少しの間だったら、水温が戻れば回復しますが、白化現象が長く続いてしまうとサンゴは死んでしまいます。
また、サンゴ礁でできた島は標高がとても低いので、海面が少しでも上昇すると沈んでしまう可能性があります。
地球温暖化によって、極の氷河が溶けて、海水面が上昇してしまうと沈んでしまうかもしれないのです。
さらに、地球温暖化以外にも、海水が汚れてしまうことでサンゴが生息できなくなるという問題もあります。
このように、環境問題と関連もあるということも頭の片隅に入れておいてください。
サンゴ礁地形のまとめ
今回は、サンゴ礁が作る地形について詳しくみてきました。
最後にサンゴ礁地形についてまとめておきます。
生育環境
- 海水温が高い(18℃〜28℃)
- 海水の透明度が高い
- 水深が浅い
種類
- 裾礁
- 堡礁
- 環礁
環境問題
- 地球温暖化 → 海面の上昇により水没の危機
- 水質汚濁 → サンゴが生息できない
サンゴ礁地形は覚えることは少ないので、しっかり理解を深めといてくださいね!