酪農の特徴や分布を一発で理解する方法を解説してみた!【地理受験生必見】
どうも、ひろです。
今回は、酪農について解説していきます。
酪農は、乳牛にどのような特徴があるかを考えれば、一発で頭に入れることができます。
というわけで、一緒に酪農について理解を深めていきましょう。
酪農の特徴
酪農は、牧草や飼料作物を栽培して、乳牛を育てる農業形態です。
牛乳やチーズ、バターといった乳製品の生産に特化した農業になります。
なぜ牛乳の生産に特化した農業形態が生まれたのか考えてみましょう。
そもそも、肉牛として飼育される牛と、乳牛として飼育される牛は品種が違います。
乳牛特有の特徴は2つあります。
- 牧草があれば乳牛が育てられる
- 生乳は鮮度が大事
牧草があれば育てられる
肉牛は体内に栄養を蓄えさせ、ぶくぶくと太らせないといけないため、栄養価の高いトウモロコシなどの穀物も与えないといけません。
それに対して乳牛は、乳を出して貰うだけでいいので、繊維質ばっかの割と粗末な牧草が多くても大丈夫です。
つまり、穀物が育たないけど、牧草のような草はギリギリ栽培できるくらいの、冷涼で痩せた土地でも飼育できるという利点があるわけです。
生乳は鮮度が大事
今でこそ、冷蔵技術が発達してきて、そこまで意識することもなくなったかと思いますが、生乳は鮮度が大事です。
生乳が腐りやすいというのはイメージできると思います。
なので、鮮度を保ったまま消費地である大都市に運べるように、大都市に近いところで行われることがあるという特徴もあるのです。
もちろん、大都市から離れたところでやっている場合もありますが、その場合は生乳のままではなくチーズやバターなど、保存が効く状態に加工して出荷しているということになります。
大都市の発達や冷蔵・冷凍技術の発展によって、酪農の地域も拡大してきたのです。
酪農の分布
ここまで見てきたように、酪農は冷涼で痩せている地域や大都市の近郊に分布している傾向があることがわかりました。
実際に、世界にどのように分布しているのかも確認しておきましょう。
地図からもわかるように、やはり冷涼な高緯度に多く分布していますね。
- ヨーロッパ北部
- アルプス山脈
- アメリカ北東部
- アメリカ西岸の北部
- オーストラリア南東
- ニュージーランド北島
これらの地域のほとんどが、今からおよそ2万年前の最終氷期に大陸氷河に覆われていた地域です。
氷河は止まっているようで実はゆっくり動いています。しかもとても重いので、ゴリゴリ土を削り取ってしまうのです。
そうすると、栄養のある土壌表面は全部削り取られ、ちょっと土を掘ると硬い岩盤にぶつかってしまうような痩せた土地になってしまうわけです。
まずは、冷涼な気候に加えて、土壌が痩せているため穀物を育てるのが難しい地域というのを理解してください。
各国の特徴
それでは、酪農地域についてもう少し詳しく考えていきましょう。
特に重要な国について見ていきます。
オランダ
オランダは、チューリップなどの園芸農業が盛んというイメージがあると思います。
しかし、オランダでは酪農も行われているのです。
オランダは、ライン川の河口部にある比較的小さい国ですが、ポルダーと呼ばれる干拓地が広がっています。
昔は海だった地域から水を外に排水して、国土を広げてきたわけです。
ポルダーは、低湿地なのでチューリップなどの球根栽培には向かない場合があります。
そこで、牧草を育てて酪農をしているということになります。
デンマーク
デンマークは、大陸氷河の影響で痩せた土地が広がっています。
世界有数の酪農国家ですが、近年は技術も発展してきて、混合農業によって豚肉を世界に輸出しているという側面もあります。
スイス
スイスは、アルプス山脈の冷涼な気候を生かして酪農が行われています。
特に、スイスで注目しておきたいのは、移牧という方法です。
スイスは、地中海に近く、地中海性気候の特徴があります。
夏は、亜熱帯高圧帯の影響を受けて高温で乾燥した気候になるわけです。
高温で乾燥していると、牧草が育たなくて餌が不足してしまいます。
夏の高温乾燥という環境でも酪農をできるようにするのが、移牧というやり方です。
夏は低地の牧草が不足してしまうので、涼しい山の上の方に家畜を連れて移動します。
山の上の方で放牧をするのです。
逆に、冬は山の上の方は寒いので、低地に戻ってきて畜舎の中で飼育します。
アメリカ
アメリカの北東部は、近くにメガロポリスと呼ばれる大都市が連なった地域があります。
メガロポリスにはめちゃくちゃ人が住んでいるので、牛乳を大量に消費します。
アメリカの北東部は、大消費地に新鮮な牛乳を運ぶという側面も特に大きいわけです。
もちろん、アメリカの酪農地域は広いので、メガロポリスから離れた地域ではチーズなどの乳製品の生産も盛んです。
オーストラリア
乳牛は、牛乳を生産するため、たくさんの水を飲まなければいけません。
しかし、オーストラリアは内陸に広大な砂漠が広がり、国土の大部分が乾燥帯です。
年降水量が750mm以上になり、比較的涼しい(乳牛は暑さにも弱いので)オーストラリアの南東部では、酪農が行われています。
南東部にはオーストラリアで人口が最も多いシドニーと2番目に多いメルボルンがあるので、新鮮な牛乳も届けることができてぴったりというわけです。
ニュージーランド北島
ニュージーランドの北島は、降水量も多いので、酪農が盛んに行われています。
人口が少なく、乳製品を輸出する余裕があるため、乳製品の輸出が多いというのも一つの特徴です。
酪農の生産物
酪農の生産物は、もちろん牛乳・乳製品です。
強いて言えば、カブやクローバーなどの牧草も一緒に育てているというのも挙げられますが、結局は乳牛を飼育するためなので、そこまで気にする必要もないですね。
覚えておくことは、新鮮さが大事な生乳と加工した乳製品の違いです。
- 生乳:大消費地に近い地域
- 乳製品:消費地から比較的遠い地域
この2つの特徴をそれぞれ押さえておきましょう。
酪農のまとめ
いかがだったでしょうか。
酪農の特徴はいくつかありましたが、いずれもどの地域にも通用する理屈だったので、覚えるのは簡単だと思います。
というわけで、最後に酪農についてまとめておきます。
- 冷涼で痩せた土地で行われる
- 大消費地に近い地域は生乳の生産
分布:最終氷期に大陸氷河で覆われていた地域
- ヨーロッパ北部
- アルプス山脈(スイスの移牧)
- アメリカ北東部(メガロポリスへの生乳)
- アメリカ西岸の北部
- オーストラリア南東(シドニー、メルボルンに近い)
- ニュージーランド北島(乳製品の輸出)
酪農は、特徴を押さえれば意外に簡単に攻略できると思います。一気に理解しちゃってくださいね。
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