地理の亜寒帯を攻略するコツ!雨温図の判別や特徴を解説!
どうも、理系地理マスターひろです。
今回は、亜寒帯(冷帯)についてまとめていきたいと思います。
亜寒帯の中には、亜寒帯湿潤気候・亜寒帯冬季少雨気候の2種類の気候区分がありますね。
そもそも、亜寒帯はあんまり馴染みがない気候なので、どのような特徴があるのか掴みづらいかと思います。
そこで、今回は亜寒帯に関する知識をまとめてみました。
DfとDwの2つの気候区分を比較しながら進めていくので、学びやすいと思います。
亜寒帯(冷帯)の定義を確認しよう!
亜寒帯は、中学校で習った時は冷帯と呼ばれていたと思いますが、どのような気候なのでしょうか?
受験テクニックを紹介する前に、まずは定義から確認していきましょう。早く特徴が知りたいー!って人は、こちらから特徴に飛べます。
- 最寒月平均気温 −3℃未満
- 最暖月平均気温 10℃以上
というのが亜寒帯の条件でした。
一年で最も寒い月の平均気温が−3℃未満というわけで、かなり冬場の冷え込みが厳しい地域だと分かりますね。
ちなみに、なぜこのような気温で亜寒帯は定義されているのかというと、
- 最寒月平均気温 −3℃未満 → 冬の間積雪状態が続く
- 最暖月平均気温 10℃以上 → 樹木がギリギリ生育できる
というような理由があるのです。
つまり、亜寒帯とは、
というわけです。
そして、亜寒帯の中には
の2つの気候区分がありましたよね。
各気候区分をより詳しく知りたい方は、別記事で詳細に解説しているのでクリックしてみてください。
この2種類の気候区分の区別の仕方を確認しておきましょう。
Df, Dw は何が違うかというと、雨の降り方です。
- w (冬に乾燥する):(最少雨月(冬)降水量)×10 ≦ (最多雨月(夏)降水量)
- f (一年中湿潤):wでない場合
これが、厳密な定義式です。
温帯には、夏に乾燥するs型がありましたが、亜寒帯にはs型はないので覚えておきましょう。
DfとDwは雨の降り方によって区別されているのですね。
亜寒帯の特徴は?
定義を確認したところで、いよいよ受験で最も問われやすい特徴に入っていきましょう!
亜寒帯湿潤気候と亜寒帯冬季少雨気候の共通点を意識していきましょう。
亜寒帯の植生!
まずは、亜寒帯の植生について見ていきましょう。
亜寒帯は、冬場の寒さはかなり厳しいものになりますが、夏は比較的暖かくなるので植物が生えることができます。
亜寒帯特有の植生として、冬の厳しい寒さに耐えられる数種類の樹林からなるタイガ(針葉樹林)というものがあります。
この写真はフィンランドにあるタイガですが、こんな感じの針葉樹林が広がっているのです。
南部では、常緑針葉樹と落葉広葉樹の混合林が広がっているところもあります。
生える針葉樹林は、モミやエゾマツ・カラマツなどがあります。
とにかく、亜寒帯の植生はタイガと覚えておけば大丈夫です!
亜寒帯の土壌!
亜寒帯の土壌は、基本的にはポドゾルと呼ばれるものになります。
ポドゾルとは、どのような土なのでしょうか?
- 色:白色
- 栄養分:少なくやせている
- 性質:酸性
なぜ、栄養分の少ないポドゾルが分布しているのでしょうか?
亜寒帯は気温が低いので、せっかく地面に落ちた落ち葉があまり分解されません。
ということは、そこまで栄養分が生成されないということです。
未分解の落ち葉は地面の表面で酸性の泥炭になり、鉄分を溶かして流し出してしまうので、普通は褐色の土が白っぽくなってしまうのです。
このように理屈を考えていけばそこまで難しくないですね。
それでも覚えられないという人は、亜寒帯は寒くて雪が降るから白色(=雪の色)と覚えちゃいましょう。
そして、ポドゾルのさらに下には、常に凍っている永久凍土と呼ばれるものがあります。
これも、寒さの厳しい亜寒帯・寒帯の特徴的な土壌ですね。
亜寒帯は、DfもDwも植生と土壌はほとんど一緒なので覚えることは少ないですね。
亜寒帯の人間生活!
植生と土壌について解説してきたので、次は人間生活に入っていきましょう。
亜寒帯湿潤気候では農業が行われている地域がありますが、亜寒帯冬季少雨気候では冬の寒さと乾燥によりほとんど農業をすることができません。
その違いを頭に入れておきましょう。
それでは、覚えるべき作物などをまとめていきます。
気候区分 | 農業など |
亜寒帯湿潤気候(Df) | ライ麦、じゃがいも、てんさい、小麦(南部)、混合農業、酪農 |
亜寒帯冬季少雨気候(Dw) | 林業、トナカイの遊牧 |
このように、農業ができるところとできないところがあるということに注意すれば比較的簡単です。
亜寒帯の分布はどうなっているのか?
さて、亜寒帯の特徴も一通り学習できたところで、どのように分布しているのかを確認していきましょう。
亜寒帯は、北半球の北緯40度以北に分布していることがわかりますね。
地図上の情報をまとめると、
- 北緯40度以北の大部分が亜寒帯湿潤気候
- ユーラシア大陸の東側に亜寒帯冬季少雨気候
ということになります。
なぜこのような分布の仕方になっているのかを知りたい人は、個別で解説している記事がありますので、読んでみてください。
◎亜寒帯湿潤気候について詳しく知りたい人
⇒⇒亜寒帯湿潤気候(Df)とは?特徴や分布も1つのポイントで解決!?
◎亜寒帯冬季少雨気候について詳しく知りたい人
⇒⇒亜寒帯冬季少雨気候(Dw)の特徴とは?地域や生活を攻略!
亜寒帯の雨温図は?
さて、亜寒帯の分布を確認することができましたね。
亜寒帯の気候を攻略するには、雨温図の見極め方をマスターする必要があります。
ここでは、亜寒帯に属する2つの気候区分の雨温図を具体的に見分ける方法をご紹介します。
雨温図を見分けると言っても、気をつけなきゃいけないポイントはたった2つしかないので簡単です。
雨温図を判断する2つのポイント!
雨温図を判断するためには、気温と降水量に着目する必要があります。
まずは気温!
まずは、その雨温図が亜寒帯の地域かどうかを判定しなくてはいけません。
亜寒帯の定義を思い出してみましょう。
- 最寒月平均気温 −3℃未満
- 最暖月平均気温 10℃以上
という条件でしたね。
ということは、気温が−3℃と10℃のラインに線を引いて、気温のグラフがそのラインをはみ出ることを確認すればいいですね。
降水量で詳しく分けよう!
雨温図が亜寒帯のものであると判断できたら、あとはDfかDwかの判別をすればいいですね。
Df, Dw は何が違うかというと、雨の降り方でした。
- w (冬に乾燥する):(最少雨月(冬)降水量)×10 ≦ (最多雨月(夏)降水量)
- f (一年中湿潤):wでない場合
これが、厳密な定義式です。
テスト中は時間がないと思うので、ここまで厳密な式に当てはめて判別しなくても、大体の雨の降るパターンをみて判断すれば大丈夫です。
たった、これだけで雨温図は判別することができるのですね。
それでは、実際の雨温図を使って判別してみましょう。
- オスロ(Df)
①−3℃のラインと10℃のラインからはみ出している→亜寒帯
②一年を通して雨が降っている→亜寒帯湿潤気候
このように、−3℃と10℃にラインを引くことで、簡単に見分けることができます。
確認した結果、オスロは、亜寒帯湿潤気候に属することがわかりましたね。
- ウラジオストク(Dw)
①−3℃のラインと10℃のラインからはみ出している→亜寒帯
②冬の降水量が少ない→亜寒帯冬季少雨気候
このように、雨の降り方は結構わかりやすいので、計算しなくても見た目で判別することができますね。
確認した結果、ウラジオストクは、亜寒帯冬季少雨気候に属することがわかりましたね。
具体的な雨温図を見てみよう!
読み取り方を攻略したところで、亜寒帯に属する代表的な都市を一気に確認していきましょう。
雨温図は、実際に見て考えた分だけ試験で生きるので、ここで確認していくと受験でより有利になります。
この地図を見ながら、位置関係と雨温図を対応づけて見ていきましょう。
亜寒帯湿潤気候(Df)
まずは、亜寒帯湿潤気候から見ていきましょう。
- オスロ(ノルウェー)
- モスクワ(ロシア)
- オムスク(ロシア)
- エドモントン(カナダ)
- シカゴ(アメリカ)
どの都市も雨の降る量は毎月ほとんど変わりませんね。
注目するべきは、気温の年較差が大きいということです。
特に、オムスクは7月は20℃になるのに、1月は-15℃くらいと日本に住んでいる私たちからしたら考えられないですよね。
これは、地図を見たらわかると思いますが、オムスクはユーラシア大陸の中央部にあり、かなり内陸に位置している大陸性気候だからですね。
なぜ内陸部は気温の年較差が大きくなるのかは、次の記事で詳しく解説しています。
亜寒帯冬季少雨気候(Dw)
次は、亜寒帯冬季少雨気候を見ていきます。この気候区分はユーラシア大陸の東側だけでしたね。
特徴的なので、しっかり確認しておきましょう。
- イルクーツク(ロシア)
- ハバロフスク(ロシア)
- ウラジオストク(ロシア)
- チャンチュン(中国)
亜寒帯冬季少雨気候は、雨温図を見て貰えばわかると思いますが、Dfよりもさらに気温の年較差が大きくなっています。
これは、シベリア高気圧の影響ですね。
冬に雨が少なくて、気温の年較差が極めて大きい場合は、確実にユーラシア大陸の北東部だと思って間違い無いです。
亜寒帯の雨温図は、かなり特徴的な形をしているので、比較的見分けやすいかと思います。
亜寒帯のまとめ
今回は、あまり馴染みのない亜寒帯をまとめて整理してみました。
特に土壌や植生は、DfもDwもほとんど変わらないので、まとめて覚えてしまうのがおすすめですね。
というわけで、亜寒帯で重要なところを最後にもう一度まとめておきたいと思います。
定義
- 最寒月平均気温 −3℃未満
- 最暖月平均気温 10℃以上
- Df:年間を通して湿潤
- Dw:冬に雨が少ない
分布:北半球の北緯40度以北
- ユーラシア大陸の東側:亜寒帯冬季少雨気候
- それ以外の大部分:亜寒帯湿潤気候
特徴
Df | Dw | |
植生 | タイガ(針葉樹林)、南部は落葉広葉樹との混合林 | |
土壌 | ポドゾル、下層は永久凍土 | |
農業 | ライ麦、じゃがいも、てんさい、小麦(南部)、混合農業、酪農 | 林業、トナカイの遊牧 |
赤文字で書いたところは特に重要なので、重点的に覚えましょう!
亜寒帯は、2つの気候区分がありますが、特色が同じところも多いので関連づけて覚えていきましょう。
より詳しい解説記事はこちらから飛ぶことができます!
◎亜寒帯湿潤気候について詳しく知りたい人
⇒⇒亜寒帯湿潤気候(Df)とは?特徴や分布も1つのポイントで解決!?
◎亜寒帯冬季少雨気候について詳しく知りたい人
⇒⇒亜寒帯冬季少雨気候(Dw)の特徴とは?地域や生活を攻略!
◎ケッペンの気候区分について詳しく知りたい人
⇒⇒【まとめ】地理のケッペンの気候区分をたった4ステップで覚える方法
というわけで、今回はこれで終わりにします!