地理の気圧帯は最重要!?恒常風と雨を理解するキーポイント!
今回は、地理の気候を語る上で大切な知識である、気圧帯について解説していきます。
そもそも、気圧帯という言葉をご存知でしょうか?
世界中の気圧を地球規模で見たときに、高気圧が帯状に分布している部分と低気圧が帯上に分布している部分があります。
この帯状に分布している気圧の分布のことを気圧帯とよびます。
なぜ気候を考える上で気圧が重要なのか?
地球上に気圧帯と呼ばれるものがあることがわかったところで、なんで気圧帯が重要なのでしょうか?
それは、気圧が環境に与える影響が大きいからです。
気圧が気候に与える影響は大きく分けて2つあります。
- 降水量:低気圧に覆われると雲ができやすく雨が降りやすい
- 風:地表付近で観測される風というものは、高気圧から低気圧に向かって吹く
ですが、この記事でメカニズムからしっかり解説していくので安心してください。
そして、この気圧帯が季節ごとにどのように動いていくのかを理解することで、各地の気候が考えやすくなるのです。
地球規模の気圧分布を読み解こう!
気圧帯が地球規模でどのように分布しているかを考えるためには、まず地球規模の大気の循環を考える必要があります。
まずは、地球が太陽から受ける影響を考えましょう。
上の図を見るとわかるように、地球は太陽光により熱を受けています。
では、地球上で最も太陽からの熱を受ける場所はどこでしょうか。
それは、図を見てわかるように太陽光と地表面が垂直に交わる赤道付近ですよね。
ということは、地球上で赤道付近が最も温められやすいということです。これは、赤道直下の国が暑い理由と同じですね。
空気が温められると、膨張して軽くなるということは中学の理科で習ったと思います。
空気が温められて軽くなると、上昇気流が発生します。
上昇気流が発生しやすい場所というのは、空気が上へ上へ行こうとするため上向きの力が働いています。
なので、空気の圧力は普通の場所に比べて低くなるはずですよね。この上昇気流の発生しやすい帯を低圧帯と呼びます。
そして、低圧帯で空気が上昇するということは、いずれ温まった空気が冷やされて下降してくる高圧帯がどこかに存在するはずですよね。
その場所を視覚的にわかりやすく表したのが次の図です。
極地方は、地球上で最も暖められにくい場所なので、冷やされた空気が下降して、高圧帯を形成していることが分かりますね。
図の中の緑の矢印は、空気の動きを表していて、このように地球上には低圧帯と高圧帯が交互に並んでいることがわかります。
まとめると、次の表のようになります。
緯度 | 気圧帯 |
0°(赤道) | 熱帯収束帯(赤道低圧帯) |
30° | 亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯) |
60° | 亜寒帯低圧帯 |
90°(北極、南極) | 極高圧帯 |
ポイントは、30°ごとに低圧帯と高圧帯が交互にやってくるということです。
これさえ、抑えてしまえば、気圧帯の場所は簡単に覚えることができますね。
気圧分布は気候にどんな影響を及ぼすのか?
さて、地球上には4つの高気圧帯と低気圧帯が交互に分布していることが分かりましたね。
では、その気圧帯が具体的にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
低気圧帯は雨を降らせる!
まずは、低気圧帯の与える影響について考えてみましょう。
天気予報で、「低気圧が近づいているため、明日は雨が降るでしょう」みたいな放送を聞くことがありますよね。
このように、上昇気流にのって上昇した水蒸気は、上空で冷やされて雲を作ります。
そして、その雲が雨を降らせるのです。
つまり、低気圧があるところでは雨が降るということです。
この事実はとても大事ですので、しっかりと理解してください。
高気圧は晴れをもたらす!
低気圧が雨を降らせるということは、高気圧が発達しているとなかなか雲ができず、雨が降らないということになります。
私たち、日本人にとっては高気圧は晴れをもたらしてくれるため嬉しいですよね。
しかし、先ほどの高圧帯に覆われている部分は常に雨が降りにくいので、非常に乾燥した砂漠ができてしまうのです。
世界最大の砂漠であるサハラ砂漠も亜熱帯高圧帯に覆われていて雨が降らないために砂漠になってしまったのです。
乾燥帯について詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてみてください。
季節に応じて気圧帯は移動する!?
気圧帯の及ぼす影響もわかったところで、気圧帯の動きを確認しておきましょう。
気圧帯の動きを理解するためには、地球の動きを確認することが大切です。
このように地球の自転軸は公転面に対して約23.4°傾いているため、同じ場所でも夏と冬で太陽光の当たる量が変わってきます。
例えば、熱帯収束帯に着目してみると、1月ごろには南半球側にずれて、7月ごろには逆に北半球側にずれるのです。
気圧帯が動くことで、サバナ気候では、雨季と乾季が発生するのです。
このことは、下のサバナ気候の記事で詳しく紹介しますが、季節によって気圧帯も移動することを覚えておいてください。
気圧帯を理解すれば風も簡単!
実は、風も気圧も空気の流れの話なので、気圧帯について理解できた皆さんなら風も簡単に理解することができるはずです。
まず、地表付近で風が吹くメカニズムを確認しましょう。
このように、空気の流れを考えると、地表付近では風は高気圧から低気圧に向けて吹くことが分かりますね。
はじめの気圧帯の図に地球上の風を追加すると、次のようになります。
なぜこのように高圧帯から低圧帯に向けて風が吹くときに斜めに吹くのか説明します。
代表例として、北半球の偏西風について考えます。
まず、下の図のように地球を真上から見てみましょう。
1秒間に同じ角度だけ地球は回るので、1秒間に進む距離を下の図のように考えると、北緯30度の地点の方が速くなりますよね。
では、実際に北緯30度地点から吹き出る風について考えていきましょう。
風が実際に進む経路は、はじめの速度の影響を受けてこの図の青い細線(A→B’)のように進みます。
走っている電車の中でジャンプしても、同じ場所に着地するのと同じ原理です。
しかし、北緯30度の地点も右に少しだけ進んでいるため、AがA’に進む間にBもB’に進んでいるので、私たちが観測する見かけ上の風というのは、図の緑の矢印(A→B)のようになるのです。
以上が偏西風の原理です。
しかし、これを理解するのは結構難しいですよね。
そんな人は、平仮名の「く」と覚えておきましょう。
ちょうど風の向きは「く」のようになっています(笑)
あとは、高圧帯から低圧帯へと風が流れるということを理解しておけば、地球上の恒常風については完璧です。
気圧帯において大事なことをまとめてみた
気圧帯と、風や雨の関係について深く理解することができたでしょうか。
今回はかなり理解しなければいけないことも多かったので、覚えるべきことをまとめます。
- 気圧帯は、赤道から30度ごとに 低→高→低→高 と繰り返される
- 低気圧では雨。高気圧では晴れ
- 地球上の風は、下の表のようになっている!
場所 | 水平方向の風 | 垂直方向の風 |
赤道付近 | 東風である貿易風 | 強い日射により上昇気流が発達 |
中緯度(30度付近) | 西風である偏西風 | 赤道で上昇した空気が下降する |
高緯度(60度付近) | 東風 | 再び空気は上昇する |
極付近 | 空気が冷やされて下降気流が発達 |
以上のポイントを抑えておけば、気圧帯に関してはバッチリです。
今回の内容は、高校地理の中でもかなり重要な理屈なので、しっかり覚えておきましょう!
Comment
先日の御解答ありがとうございました。度々申し訳ございません。またお願いしたいのですが、赤道付近で低気圧帯が発生することは,おかげさまで理解できましたが、何故、高緯度において亜寒帯低圧帯が発生するのかが良くわかりません。周辺の気圧と比べて相対的にそうなるという考え方なのでしょうか?
赤道で温められた空気が上昇していき、低圧帯が発生するということは、今度は、どこかで空気が下降して高圧帯になるところがあるはずです。
このように、大気が地球規模で循環しているのですが、その結果として約30度ごとに低圧帯と高圧帯が交互にやってくるのです。
ちょうど60度あたりでは空気が上昇する動きが強くなり、低圧帯が発生するということになります。
高い山や山脈、盆地が無くとも降水量が多い地域を教えて下さい。熱帯収束帯の地域はそれらと関係無く基本的に降水量が多いのでしょうか、特にサヘル地方とか、海上はどうなっているのでしょうか?
熱帯収束帯の地域は降水量が多いという認識で大丈夫です。
赤道直下の熱帯雨林気候では年中雨が降っています。
サヘル地域は、もう少し高緯度側で亜熱帯高圧帯の影響を多く受ける地域なので、年間を通して雨が少ないです。
ただ、季節によって気圧帯は動いてくるので、周囲の低圧帯がやってくる時期は少し雨が降ります。