【必見】地中海性気候(Cs)とは? 一瞬で特徴も国も攻略する方法!
今回は、地中海性気候について詳しく解説していきたいと思います。
地中海性気候は、夏に雨が少なくなるというちょっと変わった気候区分です。
普通夏は暑いので海水も温まって上昇気流が発生して、雲ができやすいのですが、なんで地中海性気候は夏に雨が降らないのか不思議に思うかもしれません。
しかも、”地中海性”と言いながら、地中海だけでなく世界中に分布しています。
そんな難しそうな地中海性気候ですが、実はあるキーワードに注目するだけで簡単にマスターすることができます。
それは、亜熱帯砂漠です。これに注目するだけで、すべての分布地域をラクに覚えることができてしまいます。
テストでも取り上げられることが多い、超大事な範囲なので、しっかりこの記事で学んでいってください!
地中海性気候(Cs)の特徴を解説!
地中海性気候で使える受験テクニックを教える前に、地中海性気候とはどんな気候かくらいは知っておいてもらわないと困ります。
ということで、まずは地中海性気候の定義から確認していきましょう。定義はわかっているから早く分布が知りたいという人は、こちらから分布に飛ぶことができます。
- 最寒月平均気温 ー3〜18℃ (Cの要素)
- 降水 夏少雨 冬の最多雨月降水量が夏の最少雨月降水量の3倍以上 (sの要素)
これが地中海性気候の定義になります。降水量の条件が、少しややこしくなっていますが夏に雨が少ないという雰囲気を掴んでおくようにしましょう。
地中海気候の特徴をまとめると、
地中海性気候は、年間を通して比較的、降水量が少ない気候なのですが、特に夏は高温で乾燥します。
では、なぜ夏は乾燥し、冬は雨が降るのでしょうか?
正解は、気圧帯の影響です。
気圧帯とは?と思う人は、次の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
夏は、サハラ砂漠などに乾燥をもたらす亜熱帯高圧帯がやってくるため、晴天が続き、高温で乾燥した気候になります。
逆に冬は、亜寒帯低圧帯がやってきて、低気圧や前線によって適度に雨が降る湿った気候になります。
ちょうど、熱帯のサバナ気候と雨季・乾季が逆になっているような感じですね。
サバナ気候は夏に雨が降り、冬は乾燥する気候ですが、その原因は『サバナ気候(Aw)の特徴とは?具体的な国名もたった1つのポイントで攻略可能!』の記事内で図を用いて解説しているので、合わせて読んでみると理解が深まると思います!
なぜ夏乾燥し、冬雨が降るのかがわかれば、次に解説していく分布なんかもわかりやすくなってくると思います。
地中海性気候はどんな風に分布している?
さて、地中海性気候の特徴を学んできたところで、分布に入っていきましょう。
地中海性気候は、この地図を見ればわかると思いますが、世界中に分布している範囲が狭いです。
なので、テストにとても出やすいです。でも覚えることは少ないので、しっかり抑えていくようにしましょう。
先ほどの話を思い出してください。地中海性気候は、亜熱帯高圧帯が夏に北上してくるため、夏に乾燥するのでした。
ということは、年中亜熱帯高圧帯に覆われている、亜熱帯砂漠の高緯度側に分布しているのではないかと予想できますね。
実際に、乾燥帯と地中海性気候の分布を重ねて見ると、亜熱帯砂漠の外側に帯状に分布していることがわかると思います。
特に、大陸の西岸にあることが多いですね。
なぜ、大陸西岸に地中海性気候が多いのかというと、東岸に比べて季節風の影響が少なく、気圧帯の季節移動の影響をもろに受けてしまうからです。
ちなみに、亜熱帯砂漠とは何か?砂漠はなんでできるのか?などは、次の記事で解説しています。わからない方は読んでみてください。
というわけで、地中海性気候の分布の法則を大まかにまとめます。
このように、亜熱帯高圧帯の影響を考えていけば、大まかに覚えることができますね。
大まかに分布の仕方がわかったところで、細かく個別の国・地域をみていきましょう。
ヨーロッパ〜アジアは重要!
ヨーロッパから西アジアにかけて地中海性気候は分布しているわけですが、これがすごく重要になります。
地中海性気候というぐらいですから、地中海付近に分布していて特徴も典型的になるはずです。
なので、まずは地中海沿岸のこの地域から攻略していきましょう。
地図を見ると地中海沿岸を取り囲むようにヨーロッパとアフリカに地中海性気候は分布していますね。
地中海のある北緯30〜40度のあたりを東に伸ばしていくと、西アジアまで伸びていることがわかります。
ちょうどタジキスタンのあたりまで地中海性気候が広がっています。これ以上東に行くと、インド半島があって隔海度が大きくなってしまうため、内陸砂漠が現われるからです。
隔海度は「かくかいど」と読み、海からどれくらい離れているのかの度合いのこと
また、ここで注意して欲しいのは、本当に沿岸部の狭い範囲だけが地中海性気候になっているということです。
アフリカの内陸の方にいくと砂漠が広がっていますし、ヨーロッパの北部にいくと西岸海洋性気候が広がっています。
ヨーロッパからアジアにかけての地中海性気候をまとめると、次のようになりますね。
これで、一番大事な地中海付近は完璧です。
北米はほんの少し!
地中海沿岸の分布を学んだ後は、同じ北半球のアメリカを見てみましょう。
アメリカの場合も、原則通りに大陸西岸の北緯30〜40度付近に分布しています。
アメリカは南北に細長く分布しているのがわかると思います。
内陸には、乾燥帯が広がっているためこのように西岸に細長く分布しているのです。
カリフォルニアの気候の特徴としては、沿岸を寒流であるカリフォルニア海流が流れているため、夏の気温がそこまで高くならないというものがあります。ちょっと頭に入れておくとヨーロッパと判別しやすくなります。
アメリカは、西岸の一部分だけだったので、覚えることはそんなに多くなくて楽勝ですね。
南半球は緯度に注目!
北半球をすべて確認したので、南半球に入っていきましょう。
地中海性気候の分布を考えるときは例外というものはあまりなく、南半球に関しても原則通りに、緯度30〜40度の大陸西岸を見ていけばいいです。
地図上に、南緯30度の線を書いたのですが、見事に地中海性気候が同じ緯度上に並んでいることがわかりますよね。
南半球に関しても、覚える地域は少ないので簡単にまとめておきます。
- アフリカの南西端
- オーストラリアの南部
- 南米の大陸西部、南緯30度付近
この3地域を覚えておけば、南半球の地中海性気候は完璧です!
地中海性気候の植生と土壌は?
分布のあとは、植生と土壌について見ていきましょう。
植生はオリーブ気候!?
それでは、早速植生を考えていきましょう。
地中海性気候は、分布域がオリーブの生育域と大体一致するので「オリーブ気候」とも呼ばれています。
では、オリーブとはどんな植物なのでしょうか?
このような植物ですね。オリーブがまさに地中海性気候の植生の特徴を表しています。
まず、地中海性気候の特色を思い出してみましょう。
夏は乾燥して、冬は雨が降るというのが地中海性気候でしたね。
一番暖かく植物が育ちやすい夏に乾燥するというのは、植物にとって環境は悪いです。普通の草は夏の乾燥に耐えきれずに枯れてしまいます。
オリーブはそんな厳しい環境にも耐えられる植物で、硬葉樹と呼ばれるものです。
硬葉樹は、夏の乾燥にも耐えられるように、硬くて水分たっぷりな厚い葉っぱを持っています。
硬葉樹には、オリーブの他にコルクがし などもテストに出てくるので覚えてきましょう。
土壌はちょっと大変!
植生の次は土壌に入っていきます。
通常、土壌は植生の影響を考えれば簡単に理解することができますが、地中海性気候は別で覚えなきゃいけないことがあるのでちょっと大変です。
- 赤黄色土
- テラロッサ(地中海沿岸)
地中海性気候で覚えなければいけない土壌は上の2つです。
赤黄色土は、夏に枯れた草が腐食してできるので、さらっと頭に入れるくらいで大丈夫です。
問題なのは、テラロッサです。テラロッサとはなんでしょうか?
テラロッサは間帯土壌です。
間帯土壌とは、気候帯に関係なく、岩石などの影響を受けて生成された、局地的に分布する土壌。
間帯土壌について詳しく知りたい人は、次の記事を読んでください。
地中海沿岸では、石灰岩が風化したテラロッサと呼ばれる赤紫色の土壌が分布しています。
これは、しっかり覚えておきましょう!
地中海性気候の人間生活について!
最後は、地中海性気候の人間生活について見ていきましょう。
地中海性気候の農業は?
まずは、地中海性気候の農業です。
農業といっても、夏に雨が少ないので植生のところで出てきた植物とほぼ同じです。
夏の乾燥に耐えられる耐乾性の作物である、柑橘類・オリーブ・ぶどう・コルクがし・イチジクなどの栽培が盛んです。
イタリアのオリーブやぶどうなんかは結構イメージしやすいですね。
その他に覚えておいて欲しいことは、夏の農業には灌漑が必要ということですね。
また、地中海沿岸では冬小麦の栽培も行われています。
カリフォルニアでは、柑橘類・灌漑を使った稲作も行われています。カリフォルニアのオレンジなども有名ですね。
地域によって、栽培している作物に多少の違いはありますが、乾燥に強い作物を育てているということを頭に入れとけば大丈夫です。
地中海性気候はリゾート地!
西岸海洋性気候などに分類されるヨーロッパ中北部は、夏の天気があまり良くないことが多いです。
そんな地域の人にとって、夏にカラッとした天気の良い地中海性気候は魅力的です。
ということで、地中海沿岸は有数のリゾート地となっていて、夏休みなどを利用して多くおヨーロッパ人が観光に訪れます。
なので、地中海性気候の地域は観光業が発達しているのです。
また、地中海周辺は、日差しがとても強いので石造りの白い家が多いです。
上の画像は、ギリシャのミコノス島という島の画像です。白い家ばっかりですね。
地中海性気候(Cs)のまとめ
いかがだったでしょうか?
地中海性気候は、気候も分布も特徴的なのでかなり試験に出やすい分野です。
ですが、覚えることは案外少ないのでサクッと攻略してしまいましょう。
というわけで、今回の地中海性気候で重要なポイントをまとめます。
分布:基本的に大陸西岸、亜熱帯砂漠の外側に分布
- 地中海沿岸〜西アジア
- アフリカの南西端
- 南北アメリカ大陸の西部
- オーストラリア南部
特徴
- 気候:夏は高温乾燥、冬は雨が増える、年間の降水量は比較的少ない
- 植生:硬葉樹(オリーブ、コルクがし など)、
- 土壌:赤黄色土、テラロッサ(地中海沿岸)
農業
- 耐乾性の作物(柑橘、オリーブ、ぶどう、コルクがし、イチジク)
産業
- 観光業が発達(リゾート地)
整理すると覚えなければいけないことはそこまで複雑ではないですね。赤文字の用語は特に重要なのでしっかり覚えておいてください。
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というわけで、地中海性気候の解説を終わります!
Comment
亜寒帯低気圧ではなく、亜寒帯低圧帯だと思われます。
ご指摘ありがとうございます!
修正いたしました!