温暖湿潤気候(Cfa)とは?特徴は日本を軸に考えろ!
今回は、温暖湿潤気候について詳しく解説していきたいと思います。
今回の記事では、日本の軸にしつつプラスアルファで覚えなければいけないことも紹介しているので、この記事を読めば確実に周りと差をつけることができます!
というわけで、早速、温暖湿潤気候の特徴に移っていきましょう。
温暖湿潤気候(Cfa)の特徴とは?
早速、温暖湿潤気候に関する受験テクニックを教えていきたいのですが、温暖湿潤気候とはどのような気候なのかということを知らないままでは話になりません。
ということで、まずは温暖湿潤気候の定義から確認していきましょう。定義はわかっているから早く分布が知りたいという人は、こちらから分布に飛ぶことができます。
- 最寒月平均気温 ー3〜18℃ (Cの要素)
- 最暖月平均気温 22℃以上 (aの要素)
- 降水 1年中湿潤 (fの要素)
これが温暖湿潤気候の定義になります。温暖湿潤気候を見分けるためには、一番寒い月の平均気温と一番暖かい月の平均気温の両方を気にしなければいけないのです。
気温は、他の気候区分を判別するときにも必要になってくる情報ですので、次の記事内で解説している判別方法をまとめて覚えてしまいましょう!
ここまでの話をまとめると、
日本の大半がこの温暖湿潤気候なので、想像はしやすいのではないでしょうか。
確かに、一年中雨は降るし、夏の暑さはかなり厳しいものになりますよね。
温暖湿潤気候は低気圧や前線の影響で一年中比較的降水量が多くなっています。
基本的に、熱帯低気圧(台風やハリケーン)やモンスーンの影響を受ける大陸の東岸に位置していることが多いです。
日本などの東アジアでは、さらに梅雨前線の影響もあり夏はかなりの量の雨が降りますね。
また、大陸の東岸なので、気温の年較差が大きくなります。特にアメリカ東部は冬の寒さが厳しいです。
年較差とは、一定の地域で1年間に観測された最高気温と最低気温の差
なぜ大陸の東岸だと気温の年較差が大きくなるのかは、次の記事で影響などを詳しく説明しているので見てみてください!
また、夏の気温が高くなるので、四季の変化が明瞭になっています。
気候の特徴が少しごちゃごちゃしてきたので、まとめます。
- 年中雨が比較的多い(低気圧、前線の影響)
- 夏は暑く、冬は寒い→四季の変化が明瞭
- 気温の年較差が大きい
このように、年中雨が多くて、気温の年較差が大きいため四季がある。
まさに、日本が典型的な温暖湿潤気候だと理解しておけば大丈夫そうですね。
温暖湿潤気候の分布は?
さて、温暖湿潤気候の特徴を学んできたところで、分布に入っていきましょう。
こうしてみると、温暖湿潤気候は結構世界中に散らばっているようで覚えづらそうですね。
でも、あるポイントを抑えれば比較的簡単に覚えることができます。
今回は、そのポイントを紹介していきたいと思います。
温暖湿潤気候は大陸東岸の暖流の流れに注目しろ!
まさにこれがポイントです。これだけ言われても訳がわからないかもしれません。
ということで、説明していきます。
まず、温暖湿潤気候とは、暖かく一年中雨が降るというのが特徴でした。
暖流が沖合を流れていると、空気が温められて温暖な気候になる上に、温められた水が次水蒸気になって上昇することで低気圧を発生させます。そうすると、雨が降ることにつながりますね。
つまり、東岸に暖流が流れている地域は、温暖湿潤気候になるということです。
暖流がどこを流れているかピンとこない人は、次の記事を読んでみてください。簡単な覚え方も解説しています。
さらに、なんで大陸の東岸なのかというと、モンスーンができやすいのが東岸だからですね。
このことを踏まえて具体的に個別地域を見ていきましょう。
まずは、アジア!
まずは、私たちに馴染みの深いアジアから見ていきましょう。
太平洋に黒潮が流れているため、温暖で湿潤な気候になるのです。
また、『熱帯モンスーン気候(Am)とは!? 特徴を簡単に覚える方法!』の記事内でも紹介しているように、東アジアは世界の中でも有数の季節風地帯なので、アジアの東岸に温暖湿潤気候が分布している理由はすぐにわかると思います。
東京・上海・台北という主な都市を覚えておけばいいでしょう。
というわけでアジアはサクッと終わります。
次はアフリカ!
アジアの次は、アフリカを見ていきます。
アフリカは、温暖湿潤気候になる地域が少ないですね。
アフリカ大陸と、マダガスカル島の間にモザンビーク海流という暖流が流れ込んでいるため、モザンビークの周辺が温暖湿潤気候になります。
これも、基本通り大陸の東岸で暖流が流れるところなので特に問題はないですね。
ヨーロッパはちょっと特殊!
次はヨーロッパです。ヨーロッパはちょっと特殊ですが、説明していきます。
地図中には、西岸海洋性気候(緑)・温暖湿潤気候(黄緑)・地中海性気候(オレンジ)の3つの気候を示しました。
ヨーロッパは、イタリアの北部から、黒海とカスピ海の間くらいまで温暖湿潤気候が分布していますね。
地中海の沿岸は夏に乾燥する地中海性気候ですが、内陸部にはアルプス山脈をはじめとする山々が存在するため、風が通るときに上昇気流ができ、雲を作ることで降水量が増えるため温暖湿潤気候になっているのです。
ちょっと難しい話ですので、地中海性気候と西岸海洋性気候に挟まれるように帯状に温暖湿潤気候が分布していると覚えておきましょう!
北米は範囲が広い!
続いて北米ですね。北米は結構広い範囲に温暖湿潤気候が分布しています。
北米は、大陸の東岸にメキシコ湾流という暖流が流れているため、大陸東岸の低緯度の地域で温暖湿潤気候になっています。
アトランタとかダラスとか有名な都市が温暖湿潤気候になっているのですね。
地図上に北緯40度の線と西経100度の線を書いたのですが、このように区切ったときに右下部分が温暖湿潤気候になることを覚えておくだけで大丈夫です。
南アメリカは基本通り!
北米の次は、もちろん南米です。南米は The 基本 です。
南米はとっても簡単です。
大陸の東岸を流れているブラジル海流の影響を受けて、中緯度の東岸が温暖湿潤気候になっています。
パラグアイの首都アスンシオンやアルゼンチンの首都ブエノスアイレスもこの気候区分です。
この辺りを湿潤パンパと呼びます。名称を合わせて覚えておきましょう。
南米もそんなに覚えることもないですね。
最後はオーストラリア!
さあ長かった温暖湿潤気候の分布ですが、いよいよ最後のオーストラリアです。
オーストラリアも大陸の東側を流れている東オーストラリア海流の影響でシドニーなどの大陸東岸が温暖湿潤気候になっています。
お手本のような配置ですね。
これで、温暖湿潤気候の分布はマスターできましたね。
最後に分布している地域をまとめておきたいと思います。
基本的に大陸東岸の暖流が流れている付近
- 東アジア
- 南アフリカの東岸
- 地中海、黒海沿岸
- アメリカの南東部
- アルゼンチン、パラグアイの湿潤パンパ
- オーストラリアの東部
温暖湿潤気候の植生、土壌は?
分布のあとは、植生と土壌について見ていきましょう。
植生は日本を思い出せ!
温暖湿潤気候の植生を考えるときは、まず日本の植生を思い出すことが大事です。
- 低緯度:常緑広葉樹
- 高緯度:落葉広葉樹と針葉樹の混合林
- 降水量が少ない地域:温帯草原
温暖湿潤気候の植生は、この3つに分けられます。
低緯度と高緯度の植生は、日本をイメージして貰えば良いのですが、温帯草原はちょっとイメージしづらいですね。
温帯草原というのは、このような草丈の長い草原のことです。雨が少ないため、草しか生茂ることができないのです。
温帯草原は、場所によって呼び名が変わります。
- 北アメリカ:プレーリー
- アルゼンチン:パンパ
- ハンガリー:プスタ
特に、プレーリーとパンパはよくテストに出題されるので、しっかり覚えておきましょう。
温暖湿潤気候の土壌は?
温暖湿潤気候の土壌は、植生がわかってしまえば簡単です。
- 大部分→褐色森林土
- プレーリー→プレーリー土
- パンパ→パンパ土
このように、大部分は多くの雨が降り植物が豊富に生えているため、土壌は栄養分に富んだ褐色森林土となります。
その他に、プレーリーではプレーリー土、パンパではパンパ土と呼ばれる肥沃な黒土が分布します。
こちらはその名の通りなので簡単に覚えられますね。
温暖湿潤気候の農業は?
植生・土壌について学んできたので、次は農業について見ていきます。
温暖湿潤気候は、一般的な植物が成長する夏に降水量が多いので、農業が盛んになる傾向が強いです。
地域と作物を対応づけて覚えるようにしましょう。
- 東アジア:稲作、茶
- アメリカ東部:とうもろこし、大豆、綿花
- 湿潤パンパ:小麦、とうもろこし
東アジアは、特に人口が集中している地域が多いので、主食となるお米をしっかり栽培しているのですね。
また、アメリカ東部と湿潤パンパでは牧畜を組み合わせた混合農業が盛んであることも抑えておきましょう。
温暖湿潤気候(Cfa)のまとめ
どうだったでしょうか?
温暖湿潤気候は、私たちが住んでいる日本の環境を考えれば比較的簡単に攻略できそうですね。
ということで、最後に温暖湿潤気候で覚えておかなければいけないことをまとめます。
分布:大陸東岸、緯度30〜40度付近に分布
- 東アジア
- 南アフリカ東岸
- 地中海〜黒海沿岸
- アメリカの西経100度以東、北緯40度以南
- オーストラリア東部
特徴
- 気候:年中雨が多い、四季が明瞭、気温の年較差が大きい
- 植生:常緑広葉樹、落葉広葉樹、針葉樹
温帯草原=プレーリー、湿潤パンパ、プスタ - 土壌:肥沃な褐色森林土、プレーリー土、パンパ土
農業
- 東アジア:稲作、茶
- アメリカ東部:とうもろこし、大豆、綿花
- 湿潤パンパ:小麦、とうもろこし
アメリカ、湿潤パンパでは混合農業が盛ん
日本の特徴と関連づけて覚えちゃいましょう!プレーリー、パンパは特徴的なのでしっかり頭に入れておいてください。
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⇒⇒地理の温帯をまとめてみた!雨温図の特徴や見分け方も紹介!!
◎ケッペンの気候区分について詳しく知りたい人
⇒⇒【まとめ】地理のケッペンの気候区分をたった4ステップで覚える方法
というわけで、今回は温暖湿潤気候の解説でした。
Comment
質問があります。
プレーリー土がBS気候、Ⅽfa気候でも出てくるので一体何者なのかわからなくて混乱しています。
プレーリーとプレーリー土って分布が違うのですか?
プレーリーの地域にプレーリー土が分布しているという認識であっています。
プレーリー自体がそもそもアメリカ中央部の主にCfaに分布していますが、その近辺のDf、BSにも多少は分布しているというわけです。
最後のまとめのところが西岸海洋性気候になっています。
ありがとうございます。修正しました!