集約的(アジア式)稲作農業の特徴を攻略する1000という数字の意味とは?
どうも、ひろです。
今回は、集約的稲作農業(アジア式稲作農業)について解説していきます。
名前から難しそうな香りがぷんぷんしてきますが、実は覚えることは至ってシンプルです。
なぜ、稲作を行っているのかを考えていけば、すべての知識がつながります。
集約的稲作農業の特徴
集約的稲作農業は、自給的農業に区分されます。
米は、アジアの国々にとって主要なエネルギー源なので、自給的な側面が強いからです。
また、集約的稲作農業は、別名アジア式稲作農業と言います。
アジア式という名前の通り、これに該当する地域は、ほとんどがアジアです。
稲作は、主に夏のモンスーン(季節風)が吹き付ける降水量の多い地域で、行われています。
アジアの地域の特徴を想像してみてください。
- 人がめっちゃいる
- 面積が小さい島国(東南アジアなど)
このような特徴が容易に思い浮かぶと思います。
ここからわかることは、国土面積に対して住んでいる人が多いので、農業にかけることができる人手も多くなるはずということです。
なので、狭い農地に多くの労働力が投入される集約的な農業であるという特色があります。
集約的とは、一定の面積に人手やお金が多くかかっている状態のこと。対義語は粗放的。
これが、集約的=アジア式の理由ですね。
集約的か粗放的かというのは、農業を考える上で重要な指標の1つなので、詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
また、ジャワ島(インドネシア)やルソン島(フィリピン)といった島では、稲作ができるような平野あまりありません。
なので、丘陵地を階段上に切り開いて、無理やり稲作ができるようにした棚田というものも利用しています。
集約的稲作農業の分布
続いて、集約的稲作農業の分布を実際の地図で確認してみましょう。
ほとんどが南アジア〜東アジアにかけてに存在していることがわかると思います。
- 日本
- 朝鮮半島
- 中国華中・華南
- 東南アジア
- インドの海沿い
- マダガスカル中央部
これをそのまま覚えるのはちょっと大変なので、もう少し論理的に考えてみましょう。
南アジアから東アジアの海沿いは、夏に海から湿ったモンスーンが吹いてきます。
モンスーンに関しては、『季節風?モンスーン? 風向きをわかりやすく覚える1つの法則!』の記事内で詳しく解説しているので、詳細な説明は省きますが、このモンスーンが直撃する地域は年間降水量が多くなります。
具体的には、年間降水量1000mmを超えると稲作ができるようになります。
地図の中に年間降水量1000mmのラインを追加してみました。
集約的稲作農業の北限と年間降水量1000mmラインがほとんど一致していることがわかると思います。
そして、もう一つポイントがあります。大きな河川の下流に分布していることが多いというものです。
河川の下流にある沖積平野は、川が運んできた豊富な栄養分を生かして稲作が行われているということになります。
特に、インドシナ半島(東南アジア)では、河口付近のデルタ(三角州)に集中していることが読み取れます。
最後にマダガスカルに触れておきます。
稲作はほとんどアジアで行われているのに、なぜアフリカのマダガスカルにも集約的稲作農業が存在するのでしょうか。
この疑問は、人の移動を考えれば解決します。
実は、マダガスカルには、3〜10世紀ごろに東南アジアのカリマンタン島から移住してきた人々が住んでいます。
この時に、東南アジアの稲作文化を広めたため、マダガスカルでも集約的稲作農業が行われているのです。
集約的稲作農業の作物
集約的稲作農業というくらいなので、作っている作物は米を覚えておくだけで大丈夫です。
しかし、地域によって若干作っている米の特性が変わってくるので、注意が必要です。
東アジア
まず確認しておきたいのは、日本を含む東アジアの国々です。
韓国・中国・日本は、灌漑設備が整っていたり、機械や化学肥料を多く投入するという特徴があるため、土地生産性が高くなっています。
土地生産性とは、一定の面積からどれだけ作物が育つかという指標。
温暖な華南では米の二期作が行われている場合もありますが、華中などでは米と冬小麦の二毛作を行っていることが多いです。
- 二期作:同じ土地で、1年に2度同じ作物を作る
- 二毛作:同じ土地で、1年に2種類の異なる作物を作る
基本的に東アジアは二毛作と覚えておきましょう。
東南アジア
東南アジアは、東アジアほど設備投資が進んでおらず、自然の雨水に依存した水田が多いので、土地生産性は低めです。
ですが、人口が比較的少ないので、自国内で消費する米が少なくて済みます。
なので、余った米を輸出に回すことができるという特徴があります。
特に、タイやベトナムは米の輸出が盛んにされています。
南アジア
南アジアも東南アジアと同様に、土地生産性は低いです。
しかし、インドでは「緑の革命」によって高収量品種が導入されたことにより、農業生産は幾分か改善されました。
ガンジス川の流域のように、乾季でも水が簡単に手にはいる地域では、温暖な気候を生かして米の二期作が行われています。
集約的稲作農業のまとめ
いかがだったでしょうか?
集約的稲作農業は、アジアの降水量と河川に着目すれば簡単に理解することができそうですね。
というわけで、最後に集約的稲作農業についてまとめておきます。
- 別名:アジア式稲作農業
- 集約的で自給的な側面が大きい
分布:年降水量1000mm以上のモンスーンアジア
- 日本
- 朝鮮半島
- 中国華中・華南
- 東南アジア
- インドの海沿い
- マダガスカル中央部
作物
- 米
土地生産性
- 東アジア:高い
- 東南アジア、南アジア:低い
モンスーンの影響や、大河川の下流などに分布している影響などと関連づけて理解を深めていきましょう。
関係の深い集約的畑作農業と対比しながら覚えると良いです!