河岸段丘と海岸段丘のでき方をマスターするたった2つのポイントとは?
どうも、ひろです。
今回は、河岸段丘や海岸段丘について解説していきたいと思います。
高い土地と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
平野の周辺にある高い土地と言えば、台地です。
つまり、段丘とは台地の一部分ということです。
段丘という言葉はあまり馴染みのない用語ですが、台地といえば分かりやすくなりますよね。
台地について
段丘は台地の一部ということで、まずは台地についておさらいしておきましょう。
台地とは、沖積平野の周辺部にある数メートル以上の崖に囲まれた平坦な地形です。
沖積平野に関しては、次の記事で詳しく解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
なぜ、周りの沖積平野に比べて標高が高くなっているのでしょうか?
正解は、地面が隆起したからです。
更新世(260万〜1万年前)と呼ばれる時代に作られた扇状地や三角州が隆起して、周囲よりも高い台地となったのです。
沖積平野の周りにある地形としては、他に丘陵というものがあります。
丘陵とは、山地ほど標高は高くもなく、険しくもないが、起伏に富んだ丘状の地形。
それでは、台地の周辺がどのような構造になっているのか考えてみましょう。
平野ではすぐ近くに地下水があるため、井戸を掘ったり、場合によっては自然と水が吹き出てくる湧水があったりと水を比較的簡単に手に入れることができそうですよね。
なので、平野や台地の縁には大体、水田や集落が発達します。
しかし、台地はどうでしょう?
宙水が存在すれば、井戸を掘って水を手に入れることができますが、それ以外の場所では水を手に入れるためには地下深くの地下水まで穴を掘らないといけなそうですよね。
宙水とは、地表近くに局所的に存在する不透水層の上にある狭い範囲の地下水。
つまり、台地は基本的には水を手に入れることが難しいわけです。
そうなると、集落の発達は遅れますし、水田として土地を利用するわけにもいかないので、畑・果樹園・雑木林といったものに利用されてきました。
しかし、近年では水道設備を整えればいつでも水を手に入れることができるようになったので、安定した地盤を生かしてニュータウンが作られるなど、生活の拠点になりつつあります。
段丘のでき方
台地の特色が理解できたところで、段丘がどうやってできてきたかについて入っていきましょう。
冒頭でチラッと言ったように段丘とは、平坦な場所と崖上の場所が階段上に連なっている地形です。
ほぼ平坦な部分を段丘面、それを区切る崖を段丘崖と言います。
河岸段丘のでき方
それでは、具体的に河岸段丘をみてみましょう。
平野では、河川は蛇行を繰り返すように進んでいきます。
この過程の中で洪水を起こしたりして出来上がるのが氾濫原です。
氾濫原に関しては、次の記事で詳しく紹介しています。
このとき川の流れによって削られて崖のようになったのが段丘崖ということになります。
河川の流路が変わったときに、高いところは段丘面として取り残されていくというわけですね。
河川の流路が変わる原因は以下のようなものがあります。
- 地殻変動:地面が隆起して高さが変わってしまう
- 気候変動、火山活動:川の水量が変わってしまう
- 河川の氾濫:洪水のよって元の流路から外れてしまう
このような理由がありますが、基本的に水の侵食作用と地面の隆起の2つが組み合わさってできるというわけです。
つまり、この2つが段丘をマスターする2つのポイントということになります。
海岸段丘
続いて海岸段丘について考えてみます。
もう勘のいい皆さんならお気づきかもしれませんが、できる場所が河岸から海岸に変わっただけです。
ここでも、水の侵食作用を考えればいいのです。
今回は海岸に崖ができて欲しいので、よく思い浮かべるような砂浜海岸ではなく、硬い岩石でできた岩石海岸をイメージしてみてください。
まず、岩石海岸に波が打ちつけられ、岩が砕かれて崖ができあがります。ちなみにこの崖のことを海食崖(かいしょくがい)と呼びます。
このままではただの崖ですが、海岸付近の地面が隆起することがあります。
地面が隆起すると、今まで海底に沈んでいた部分が上に顔を出しますね。
この顔を出した部分が再び、波の侵食作用によって削れていきます。
隆起→波の侵食 の流れが繰り返されることで、階段状の段丘が海岸線に沿うような形で、海岸段丘ができあがるわけです。
基本的には地面の隆起が主な原因ですが、以下のようなものが原因になるときもあります。
- 地盤の隆起・沈降
- 世界的な海水面の上昇・低下
理由はどうであれ、浅い海底が陸上に顔を出す海岸を、離水海岸といいます。
海岸地形に関しては、次の記事で詳しく解説しています。
段丘の土地利用
さて主に地盤の隆起と水の侵食作用によってできあがるのが、段丘でしたが人間生活とはどのような関わりがあるのでしょうか。
基本的に、段丘の性質を考えれば簡単にわかるはずです。
河岸段丘も海岸段丘も水辺から離れた高台にあるので、水が手に入りにくいです。
なので、畑や果樹園としての利用が多いです。台地と同じですね。
近年では、強い地盤を生かして住宅地の開発や、溜池などを作ることで水田として利用したりと利用方法が増えてきています。
河岸段丘の例
群馬県沼田市を流れる片品川の河岸段丘です。
段丘崖には森林、水はけのよい高い段丘面は畑に、川の付近の氾濫原は水田に利用されています。
海岸段丘の例
高知県南東部の室戸岬です。
典型的な海岸段丘として有名です。ため池を整備して水田を作ったりもしています。
台地・段丘のまとめ
いかがだったでしょうか?
周囲よりちょっと高い地形とひとまとめに言っても、いくつか種類があることがわかったのではないでしょうか。
というわけで、最後に台地と段丘についてまとめます。
台地
- 大昔に扇状地や三角州が隆起
- 畑や果樹園 → 近年はニュータウンなども
- 河岸段丘・海岸段丘は台地の一部
◇河岸段丘
- 川の侵食と地面の隆起が主な成因
- 段丘崖:森林
- 段丘面:畑など
◇海岸段丘
- 波の侵食と地面の隆起が主な成因
- 段丘崖:森林
- 段丘面:畑など
水の侵食作用と地面の隆起に注目しよう!
でき方が違うと言っても、意識するポイントは少ないのでラクに覚えられそうですね!