地理の乾燥帯の特徴をまとめてみた!雨温図を一瞬で見分ける方法も紹介!
今回は、乾燥帯の特徴を見ていきたいと思います。
乾燥帯には、砂漠気候・ステップ気候がありましたよね。両方とも、乾燥していることには変わりないのですが、両者は年間降水量によって区別されています。
ということは、雨に着目して学習を進めていけば、より効率よく暗記事項を覚えることができそうですよね。
ということで、今回は主に降水量を基準に砂漠気候とステップ気候の共通点や相違点をまとめていきたいと思います。
乾燥帯の定義を確認しよう!
乾燥帯について考えるときに、特徴を考えることも大事ですが、まずは定義を知らないと話になりません。
ということで、まずは乾燥帯の定義から確認していきましょう。早く特徴を知りたい人はこちらから飛んでください!
年降水量が乾燥限界 r(mm) 未満
乾燥帯の定義の中に乾燥限界という見慣れない言葉が出てきていますが、乾燥限界とはなんなのでしょうか?
乾燥限界とは、地域によってちょっと変わってくる値です。
では、実際に乾燥限界について計算していきましょう。
ちなみに、共通テストのレベルでは、この計算は知らなくてもほとんど問題ないので、時間がない人はこちらから、大雑把な見分け方まで飛んでください。
厳密な定義を確認!
というわけで今から乾燥帯の厳密な定義について確認していきます。より深く知りたい人は読んでみてください。
それでは、乾燥限界を計算によって求めていきます。
Step1 f, s, wの判定
f, s, wというアルファベットを見てピンときた人は優秀です。
これは、熱帯や温帯、亜寒帯などでも使われている雨の降り方を表すアルファベットです。
乾燥限界はこのf型・s型・w型によって値が変わってくるので、まずこの型を判別していかなければいけないのですね。
- s (夏に乾燥する):(最少雨月(夏)降水量)×3 ≦ (最多雨月(冬)降水量)
- w (冬に乾燥する):(最少雨月(冬)降水量)×10 ≦ (最多雨月(夏)降水量)
- f (一年中湿潤):sでもwでもない場合
このように分けることができます。
すべてを厳密に覚える必要はありません。雰囲気を掴めればオッケーです。
Step2 乾燥限界の計算
f型・s型・w型の判別ができたところで、次は乾燥限界を求めます。
今度は、年降水量に加えて年平均気温も関わってきます。
年降水量をr(m)、年平均気温をt(℃)として
- s 型:r < 20t
- w 型:r < 20( t+14 )
- f 型:r < 20( t+7 )
年降水量が乾燥限界よりも少ない地域が乾燥帯ということになります。
また、乾燥帯にはさらに詳しい気候区分が2種類存在しています。
その定義を確認しておきましょう。各気候区分をより詳しく知りたい方は、別記事で詳細に解説しているのでクリックしてみてください。
- 砂漠気候(BW):(年降水量) < (乾燥限界)/2
- ステップ気候(BS):(乾燥限界)/2 ≦ (年降水量) < (乾燥限界)
このように、年降水量が乾燥限界の半分にも満たない地域を砂漠気候(BW)、乾燥限界よりは年降水量が少ないけどちょっとは雨が降るという地域がステップ気候に分類されるというわけですね。
これで、乾燥帯の厳密な定義は終わりになります。
乾燥帯の大まかな判別方法を紹介!
さて、乾燥帯の厳密な定義を確認してきたと思いますが、大学受験地理において大事なのはこれからです。
乾燥帯の定義を聞いて、思ったより計算が複雑で面倒くさいなと思ったと思います。
実際の試験でこんな複雑な計算をしていては時間内に間に合わないですよね。
共通テストの出題者も、受験生に厳密な計算をして欲しいのではなく、理論的に地理的な思考力を使いこなせているかを見たいので、厳密な計算式はぶっちゃけ覚える必要はないです。
厳密な定義を覚えないでどうやって乾燥帯かどうかを判別すんねんと思うでしょう。
大まかな目安を覚えておけばいいのです。
それでは、大まかな目安を紹介します。
試験で高得点を取りたい人は、必ず頭の中に入れておいてください。
- 砂漠気候(BW):年間降水量250mm未満
- ステップ気候(BS):年間降水量250〜750mm程度
もちろんこの目安に当てはまらない地域もありますが、そんなに気にしなくていいです。
それでは乾燥帯の各気候区分における、降水量についてまとめます。
気候区分 | 定義 | 降水量の目安 |
砂漠気候 (BW) | 乾燥限界の半分未満 | 年降水量250mm未満 |
ステップ気候 (BS) | 乾燥限界の半分以上、 乾燥限界未満 |
年降水量250mm〜750mm |
どうでしょうか? このように、砂漠気候とステップ気候は年降水量によって分けられているのですね。
ちなみに、BWやBSの2文字目 “W”, “S”は、それぞれドイツ語で「Wüste (砂漠)」、「Steppen (ステップ)」を表しています。
乾燥帯の特徴は?
乾燥帯の細かい定義も確認できたところで、テストで問われる特徴に入っていきましょう。
乾燥帯というのは、先ほど定義を確認したように雨が降らない気候なので、雨の降り方に注目して特徴を分析していきましょう。
乾燥帯の植生は?
まずは、乾燥帯の植生について見ていきましょう。
乾燥帯は、その名の通り雨が降らない乾燥した気候でしたね。乾燥しているということは、植物はあまり育ちません。
砂漠気候は本当に雨が降らないですが、ステップ気候は少し雨が降るので、そこの違いに注目して植生を見ていきます。
砂漠気候
- ほとんど見られない(サボテンくらい)
ステップ気候
- 雨季には短草の草原であるステップになる
このように、雨の降り方と生えている植物はリンクしているので理解しながら覚えていきましょう。
より詳しく知りたい人は、個別に解説しているページを見てみてください。
乾燥帯の土壌は?
乾燥帯の土壌は、砂漠気候とステップ気候で覚えなければならないことが違ってきます。
でも、ちゃんと理屈を考えれば実は簡単です。
砂漠気候
- 塩性土壌(砂漠土)
ステップ気候
- 肥沃な黒土:チェルノーゼム(ウクライナ周辺)、プレーリー土(北米大陸)
- 栗色土
なぜ、砂漠気候は痩せた塩性土壌なのに、ステップ気候は肥沃な黒土が分布しているのでしょうか?
それは、植生に関係があります。
砂漠気候は、全くと言っていいほど植物が生えないのでした。ということは、土の中の水分はどんどん空気中に蒸発してしまって、塩性になってしまうのです。
逆に、ステップ気候は雨季に草原が生い茂るのでした。ということは、乾季にその草原はすべて枯れて土に還ります。これが、腐食して肥料んも役割を果たすために、肥沃な土壌になるのです。
黒土と栗色土の違いなどは『ステップ気候(BS)とは?農業や分布地域の覚え方を伝授!!』の記事内で詳しく説明しています。
砂漠気候の塩性土壌についてより知りたい人は次の記事を参考にしてください。
乾燥帯の農業を見てみよう!
さて、植生・土壌ときたら農業ですね。
農業を考える上でも、雨がほとんど降らないという乾燥帯の特徴が大事になってきます。
まずは、覚えるべき点をまとめます。
気候区分 | 農業の方法 | 具体的な作物 |
砂漠気候 | オアシス農業 | ナツメヤシ・オリーブ・柑橘類・小麦・綿花 |
ステップ気候(栗色土) | 牧畜 | ヤギ・羊・馬の遊牧、牛の企業的放牧 |
ステップ気候(黒土) | 大規模な企業的農業 | 小麦 |
上の表の中で赤文字になっている遊牧と黒土での小麦栽培は、特徴的でテストにも出やすいので確実に抑えておいてください。
砂漠気候は、ほとんど植物が育たないので、水があるオアシスや灌漑設備を利用してがんばって農業している感じですね。
ステップ気候は、土壌によってさらに細かく分けることができて、栗色土のところはステップを餌にした牧畜、黒土のところはより肥沃な土壌を生かした小麦の大規模栽培と言った感じです。
このように、乾燥帯の農業は土壌に着目して覚えていくとラクになりますね。
乾燥帯の分布を抑えよう!
乾燥帯に関する知識もある程度深まってきたところで、乾燥帯が世界中にどのように分布しているのかを見ていきましょう!
このように見てみると、乾燥帯は回帰線の周辺に分布していることがわかりますね。
分布を大まかに覚えるときのポイントをまとめます。
- 砂漠気候:大陸西岸で回帰線の周囲、大陸の内陸
- ステップ気候:砂漠気候を取り囲むように帯状に分布
このように、砂漠気候があってその周囲をステップ気候が取り囲んでいると覚えておきましょう。
具体的にBW, BS がどのように分布しているか知りたい人は個別で解説している記事を見てくださいね。
◎砂漠気候について詳しく知りたい人
⇒⇒砂漠気候(BW)とは?住居やオアシスもたった1つのポイントで攻略!
◎ステップ気候について詳しく知りたい人
⇒⇒ステップ気候(BS)とは?農業や分布地域の覚え方を伝授!!
これで、分布の確認は終わりです。
気になる乾燥帯の雨温図は?
乾燥帯の分布を確認することができたので、その地域ごとにどのような雨温図をしているのかを見ていきましょう。
今回は、雨温図を見て砂漠気候なのかステップ気候なのかを判別できるようにポイントも教えていきます。
まずは、乾燥帯の目安を思い出してみましょう。
- 砂漠気候:年降水量250mm未満
- ステップ気候:年降水量250mm〜750mm
大体の目安を覚えておけば、高校レベルでは大丈夫です。
乾燥帯は、年降水量だけ見ておけば判別できるので、比較的簡単に判別することができそうですね。
というわけで、早速具体的な地域で確認していきましょう。
1. 砂漠気候
まずは、雨がほぼ降らない砂漠気候から確認していきましょう。
- リマ(ペルー)
- カイロ(エジプト)
- リヤド(サウジアラビア)
このように砂漠気候の都市の雨温図を見てみると、雨がほとんど降っていないことがわかりますね。
特にリマは、世界一乾燥していると言われているアタカマ砂漠に位置しているため、年降水量2.2mmという考えられないほど乾燥しています。
また、比較的低緯度にあるリマをのぞいて、砂漠気候は気温の年較差が大きいというのも一つのポイントになってくるので、頭に入れておきましょう。
年較差とは、一定の地域で1年間に観測された最高気温と最低気温の差
年較差についてもっと知りたい人は、次の記事で影響などを詳しく説明しているので見てみてください!
2. ステップ気候
砂漠気候の次はステップ気候です。
高校レベルで出てくるステップ気候は、大体降水量250〜750mmの範囲でしたよね。というわけで、降水量に注目して見ていきましょう。
- キンバリー(南アフリカ)
- マウントアイザ(オーストラリア)
このように、乾季となる冬(南半球なので7月ごろ)はほとんど雨が降らないけれど、雨季になる夏(南半球なので1月ごろ)は比較的雨が降ることが読み取れるのではないでしょうか。
気温の年較差も砂漠気候ほどではないですが、15℃ほどと大きくなっていますね。
2つの都市とも雨温図の形がかなり似ていますが、マウントアイザの方が低緯度にあるので、気温が一年を通してキンバリーよりも高くなっていますね。気温に注目して判断してみるといいでしょう。
乾燥帯は、基本的に降水量が少なく、気温の年較差が大きいということを理解しておくだけで十分ということがわかったのではないでしょうか。
最後に、雨温図の判定のコツをもう一度まとめておきます。
年降水量に注目して、
- およそ250mm未満→砂漠気候
- およそ250mm〜750mm→ステップ気候
乾燥帯のまとめ
今回は、砂漠気候とステップ気候をまとめて、違いや似ているところをピックアップしてきました。
独立した知識を整理することができてでしょうか?
ということで、乾燥帯で特に重要なことをもう一度まとめます。
定義:年降水量が乾燥限界以下
判断する目安:年降水量750mm未満
- BW:年降水量250mm未満
- BS:年降水量250mm〜750mmくらい、ちょっぴり雨が降る
分布:基本的に回帰線付近(特に大陸西岸)、大陸の内陸
- BWの周囲に帯状にBS
特徴
BW | BS | |
植生 | ほぼなし(サボテンくらい) | 短草の草原(ステップ) |
土壌 | 砂漠土(塩性土壌) | 栗色土、肥沃な黒土(チェルノーゼム、プレーリー土) |
農業 | オアシス農業(ナツメヤシなどの乾燥に強いやつ) | 栗色土→遊牧など 黒土→小麦の大規模栽培 |
乾燥帯は、砂漠気候はかなり環境は厳しく、ステップ気候は少しマシという感じだということが理解できたでしょうか。
是非、二つの気候を関連づけて記憶を強固なものにしていってください。
より詳しい解説記事はこちらから飛ぶことができます!
◎砂漠気候について詳しく知りたい人
⇒⇒砂漠気候(BW)とは?住居やオアシスもたった1つのポイントで攻略!
◎ステップ気候について詳しく知りたい人
⇒⇒ステップ気候(BS)とは?農業や分布地域の覚え方を伝授!!
◎ケッペンの気候区分について詳しく知りたい人
⇒⇒【まとめ】地理のケッペンの気候区分をたった4ステップで覚える方法
というわけで、今回はこれで終わりにします!