【まとめ】地理のケッペンの気候区分をたった4ステップで覚える方法
今回の記事では、高校地理を学習する上で、最も重要と言える「ケッペンの気候区分」について解説していきます。
地理という学問は、各地域の特徴やその地域に住んでいる人の活動を理解するという学問です。
人間の活動や動植物の分布というものは、その土地の気候によって決まるということは少しイメージできると思います。
つまり、はじめに世界各地の気候を覚えてしまうことで、今後出てくる様々な暗記事項を理解しながら覚えることができ、負担が減るのです。
毎年センター試験(共通テスト)では、気候に関する問題が出題されています。このことからも気候の重要性はわかっていただけるのではないでしょうか。
ちなみに2021年度の第一回共通テストでは、「仮想大陸」上で気候を考える問題が出ました。
これは、近年ではあまり見ない形式で、多くの受験生が戸惑ったと思います。
仮想大陸上での気候分布に関して、次の記事で考え方をまとめておいたので、今後のためにもぜひ目を通しておくといいと思います。
ということで、今回解説する「ケッペンの気候区分」は、絶対に理解するという気持ちで読み進めていってください!
ケッペンの気候区分とはなんだ?
そもそも、「ケッペンの気候区分」とは一体なんなのでしょうか?
日本とアメリカは遠く離れていますよね。しかし、アメリカの東部は四季もあり日本の気候とよく似ています。
このように地球上には、場所が遠く離れていても気候が似ているところがあります。
気候が似ているということは、その土地に生えている植物や、人間の生活環境も似てくるのではないかという考えから、地球上の地域を同じような気候で分類してしまおうということで「気候区分」という考えは始まりました。
高校の地理で習う「気候区分」はドイツの気候学者ケッペンが植生によって分類したものです。
気候を決定づける3つの気候因子とは?
ある地域の気候を特徴付ける上で大事になってくるのは、
- 気温
- 降水
- 風
の3要素です。これらの要素を「気候の3要素」とよび、よく教科書や参考書などで解説されていると思います。
しかし、この3要素自体がどうやって決まってくるのかということをよく考えたことがあるでしょうか?
例えば、緯度が高ければ寒くなるというように、緯度という原因があるから気温が決まる。
このように、気候の3要素を決定づける要因について考えることができれば、理屈で考えることができるので暗記する量が少なくてすみます。
このような、緯度や地形、気圧帯、海流などのことを気候因子と呼びます。
この気候因子をしっかりと理解することができれば、今後の学習が楽になると思うので、下の記事で理解してください。
世界の気候区分を大まかに把握しよう!
気候因子の重要性がわかったところで、実際の世界の気候区分をみてみましょう!
ケッペンは、世界中を大まかに5つの気候帯と、さらに細かく30種類程度の気候区分に分類しました。
でも、大学受験をする皆さんは、下の図のように、13種類の気候区分を覚えれば大丈夫です。
13種類もあると聞くと、覚えるのがとても大変に感じるかもしれません。
でも、規則を覚えていけば、比較的簡単に覚えることができます。
まずは、それぞれの気候区分がどのような条件によって決まっているのかについて学んでいきましょう。
5つの気候帯をマスターしよう!
いきなり、13種類の気候区分を覚えようとしても大変ですよね。
まずは、13種類の気候区分の基礎となる5つの気候帯を覚えましょう。
下の図のように、地球を5つの気候帯に分けると、
と分類することができます。各気候帯をクリックすると詳細に解説したページに飛びます。
暑い赤道から、極地方に向けてだんだんと寒くなっていく様子を図にしただけですので、簡単ですよね。
大まかに表すと、世界規模でこのように気候帯が並んでいきます。例外もありますが、例外は細かい分類をみていくときにその都度解説していきますので、まずは大雑把に覚えるようにしてみてください。
熱帯と温帯の間に乾燥帯が入ってくる理由は、主に亜熱帯高圧帯の影響によるものです。
気圧帯が気候に及ぼす影響については、下の記事で解説しているのでピンと来ない人は、よく読んでおいてください。
そして、気候区分をアルファベットで表したときに、1文字目に当たるAやBなどのアルファベットは、先ほどの図で、赤道から順にAからEまでアルファベットを付けていっただけですので、簡単に覚えられるはずです。
2文字目のアルファベットは規則を覚えれば簡単に覚えられる!
さて、1文字目のアルファベットは比較的簡単に覚えられたと思います。
しかし、2文字目のアルファベットは、小文字になったり大文字になったり、規則が分からず苦戦する人もいるのではないでしょうか。
しかし、あるコツを覚えれば、簡単に攻略することができます。
小文字のアルファベットは降水量に関係する
まず、小文字のアルファベットについてみていきましょう。
小文字が出てくるのは、熱帯・温帯・亜寒帯の3つの気候帯ですね。
この小文字が表している意味は下の表をみていただければすっきりすると思います。
アルファベット | 語源 | 意味 |
f | feucht (湿潤な) | 湿潤な→一年中雨が降っている |
w | winter | 冬に乾燥する |
s | sommer (英語のsummer) | 夏に乾燥する |
m | mittelform (中間) | wとsのちょうど中間 |
おすすめの覚え方としては、
- wかsがついたら、乾燥する季節がwinterかsummerなんだなと覚える。
- fがきたら、full timeで雨が降っている。つまり、一年中雨が降っていると覚える。
- mはmiddleだから、wとsのちょうど中間なんだと覚える。ただし、mが出てくるのはAm (熱帯モンスーン気候)だけだから、モンスーンのmだなと覚えてもいい。
元々の語源と少しずれるところもありますが、こんな感じでさくっと覚えちゃいましょう!
Af (熱帯雨林気候)や、Aw (サバナ気候)などは、アルファベットの分類と日本語の分類の対応を別で覚える必要がありますが、各気候区分を詳しくみていくときに、自然と覚えられるはずなので、まずは、アルファベットを見てその気候区分の特徴が頭に浮かぶようになることを目標にしましょう。
大文字のアルファベットは気候区分の植生に由来する
小文字の意味を把握したところで、次は大文字の意味を覚えていきましょう。
2文字目が大文字になるのはB (乾燥帯)とE (寒帯)の2つです。
あとで、詳しく説明しますが、この2つの気候帯に共通して言えることは、環境が厳しすぎて、樹林が育たない環境であるということです。
2文字目が大文字の場合は、降水量など難しいことを考える必要はなく、やることはただその気候区分に生えている植物の名詞を覚えていくだけです。
大文字の2文字目も表にまとめてみたので参考にしてみてください。
- B (乾燥帯)
アルファベット | 語源 | 意味 |
W | Wüste (砂漠) | BW (砂漠気候) |
S | Steppen (ステップ) | BS (ステップ気候) |
- E (寒帯)
アルファベット | 語源 | 意味 |
T | Tundra (ツンドラ) | ET (ツンドラ気候) |
F | Frost (極寒) | EF (氷雪気候) |
Wの砂漠以外は、語源が英語と似ているためすんなり覚えられるのではないでしょうか。
3文字目があるときはさらに細分化する
温帯の気候区分をみてみると、Cfa (温暖湿潤気候)とCfb (西岸海洋性気候)という3文字目までアルファベットがある分類がありますね。
3文字目が出てくるのは、高校範囲では温帯だけなので、今はそんなに気にしなくていいです。
あとで、具体的に分類分けをしていくときにまとめて覚えてしまいましょう!
気候区分の判定は4つのステップで完璧!?
さて、13種類の気候区分に用いられるアルファベットの意味もわかったところで、実際に気候区分を判定する方法を学んでいきましょう。
13種類もあるので、覚えることが多いのではないかと不安な人もいるかもしれませんが、気候区分を判定するためにはたったの4ステップをこなせばいいのです。
というわけで、そのステップを解説していくので、しっかりとついてきてくださいね!
Step1. そこに樹木があるかに注目!
まずは、樹木が育つかどうかで、場合分けしていきます。
このように、樹木が育たないのはB (乾燥帯)とE (寒帯)であることがわかりますよね。
では、どのように樹木が育たないかを判別する具体的な手段を解説します。
まず、樹木が育たない2つの気候には別々の理由があります。
- B (乾燥帯)・・・乾燥しすぎて樹木が育たない
- E (寒帯)・・・寒すぎて樹木が育たない
では、具体的に見ていきましょう。
乾燥帯を弾きだそう!
まずは、乾燥帯であるかを判定していきます。
厳密にいうと、乾燥限界値というものを年間平均気温から算出し、その値と比較して乾燥帯かどうかを判定するのですが、そこまで厳密にやる必要はないので、簡単な判別方法を教えますね。
乾燥しているかどうかが知りたいので、年間降水量に着目していけば良さそうですね。
年間降水量 | 気候区分 |
250mm以下 | BW (砂漠気候) |
250mm〜750mm | BS (ステップ気候) |
たったこれだけ覚えておけば、とりあえずはオッケーです。簡単ですね。
寒帯かどうかを判別しよう!
先ほど乾燥帯かどうかの判別をやったので、もし知りたい地域が乾燥帯ではないということがわかったら、次は寒帯どうかの判定に移ります。
今回は、寒いかどうかの判定をしたいので、最暖月の平均気温に注目していきます。
最暖月平均気温 | 気候区分 |
0℃ 以下 | EF (氷雪気候) |
0℃ 〜10℃ | ET (ツンドラ気候) |
これも、数字が簡単なのでわかりやすいですね。
「最も暖かい月でも平均気温が0℃に満たないのはそりゃ寒いから氷雪気候やな」というようにイメージしながら覚えていきましょう。
Step2. A, C, Dの区別は気温がカギ!
さて、ここらへんから複雑になっていきますよ。頑張って覚えていきましょう!
樹木が育つ気候は、最寒月の平均気温で区別していきます。
最寒月平均気温 | 気候帯 |
−3℃ 未満 | D (亜寒帯) |
−3℃ 〜18℃ | C (温帯) |
18℃ 以上 | A (熱帯) |
これも私たちが住んでいる日本と比較してイメージしてみると覚えやすいですね。
ここで、注意してほしいことは、Step1で寒帯を外しているため、亜寒帯は最寒月の平均気温が−3℃未満であるだけではなく、最暖月の平均気温が10℃を超えている必要があるということです。
ここらへんが少し紛らわしいので、しっかり理解しておいてください。
また、気温に関しては、この記事の最後にわかりやすく図にまとめているので、最後まで読んでいってください。
Step3. A, C, Dは雨の降り方さらに細分化!
ここまでで、大まかな気候帯5つに分けられたと思います。
続いて、さらに細かく分類していきます。
ここからは、雨の降り方(一年を通して雨が多く降る時期、あまり降らない時期など)に着目していきます。
熱帯を詳しく分類しよう
熱帯の年中降水と乾季の区別の仕方を説明します。
熱帯を区別するときは、下の図のように年間降水量と最少降水量月の降水量によって区別します。
この図を完璧に覚えることは大変だと思うので、覚えるべきことをまとめます。
- Af (熱帯雨林気候)は年中降水があり、最も雨が降らない月でも月に60mm以上の降水がある
- 明確な乾季があればAw (サバナ気候)、乾季があるのか微妙なところはAm (熱帯モンスーン気候)
この2点に気をつけておけば、熱帯は大丈夫です。
温帯と亜寒帯は一通りの分類の仕方を覚えれば通用する!
温帯と亜寒帯にある区分は、s, w, f ですね。
この3つの区別の仕方を解説します。
- s (夏に乾燥する):(最少雨月(夏)降水量)×3 ≦ (最多雨月(冬)降水量)
- w (冬に乾燥する):(最少雨月(冬)降水量)×10 ≦ (最多雨月(夏)降水量)
- f (一年中湿潤):sでもwでもない場合
厳密な分け方は上のようになります。
ですが、ここまで細かく覚える必要はなく、夏に乾燥するならsなんだなくらいの気持ちでいて大丈夫です。
Step4. Cfだけさらに細分化しよう!
ここまで来れば、あとはもう少しです。
温帯で年中降雨がある場合Cfになるわけですが、高校地理ではこの場合の時だけ3文字目が登場しましたね。
しかし、これは覚えることは単純です。
最暖月の平均気温に注目してあげれば良いのです。
最暖月平均気温 | 気候区分 |
22℃ 以上 | Cfa (温暖湿潤気候) |
22℃ 未満 | Cfb (西岸海洋性気候) |
たったこれだけです。これで、全ての気候区分の判別が終了しました。
番外編!H (高山気候)
標高が高い地域では、緯度のわりに気温が低くなります。
熱帯で3000m以上、温帯で2000m以上の高地がこれに当てはまります。
この気候はケッペンの気候区分では表すことができないので、のちにH (高山気候)というものが足されました。
ちなみに、なぜ高山気候が H なのかというと “High (高い)”からきています。
高山気候については次の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
ケッペンの気候区分、気温に関してまとめてみた
4つのステップに分けてケッペンの気候区分を判定する方法を学んできたと思いますが、気温に関する分類は結構複雑で、混乱してしまった人もいるのではないでしょうか?
そんな人のために、気温に焦点を当ててもう一度まとめ直したので、是非参考にしてください。
このように、最寒月を見るのか、最暖月を見るのかをしっかりと覚えていってください。
気候区分をマスターするためには、−3, 0, 10, 18, 22 の5つの温度を覚えておけば完璧です!
地理の気候区分のまとめ
いかがでしたか?
複雑そうな地理の気候区分でしたが、4つのステップを守って判定していけば簡単に分類できることがわかっていただけたのではないでしょうか。
もう一度、それぞれの気候区分をおさらいしてみましょう。
各気候区分をクリックするとその気候区分をさらに詳しく解説した記事に行くことができます。スマホの方は横にした方が見やすいかもしれません。
気候区分 | 条件 | |
Af | 熱帯雨林気候 | 最寒月平均気温18℃以上(熱帯の条件)+ 最少でも月60mm以上の降水 |
Am | 熱帯モンスーン気候 | 最寒月平均気温18℃以上(熱帯の条件)+ AfとAwの中間 |
Aw | サバナ気候 | 最寒月平均気温18℃以上(熱帯の条件)+ 雨が降る時期と降らない時期の差が明瞭 |
BW | 砂漠気候 | 概ね年間降水量が250mm以下 |
BS | ステップ気候 | 年間降水量が約250〜750mm |
Cw | 温暖冬季少雨気候 | 最寒月平均気温−3〜18℃(温帯の条件)+ 夏の最多雨月が冬の10倍超 |
Cs | 地中海性気候 | 最寒月平均気温−3〜18℃(温帯の条件)+ 冬の最多雨月が夏の3倍超 |
Cfa | 温暖湿潤気候 | 最寒月平均気温−3〜18℃(温帯の条件)+ CwでもCsでもない(Cfの条件)+ 最暖月平均気温22℃ 以上 |
Cfb | 西岸海洋性気候 | 最寒月平均気温−3〜18℃(温帯の条件)+ CwでもCsでもない(Cfの条件)+ 最暖月平均気温22℃ 未満 |
Df | 亜寒帯湿潤気候 | 最寒月平均気温−3℃未満、最暖月平均気温10℃以上(亜寒帯の条件)+ 年中降雨 |
Dw | 亜寒帯冬季少雨気候 | 最寒月平均気温−3℃未満、最暖月平均気温10℃以上(亜寒帯の条件)+ 夏の最多雨月が冬の10倍超 |
ET | ツンドラ気候 | 最暖月平均気温0〜10℃ |
EF | 氷雪気候 | 最暖月平均気温0℃ 未満 |
H | 高山気候 | 熱帯で3000m以上、温帯で2000m以上の高地 |
これらの条件を瞬時に頭に思い浮かべることができるように学習していきましょう。
さらに、次の記事では「仮想大陸」を使って気候の分布を理論的に学べるようになっているので、こちらも合わせて読んでおくと良いかもしれません。
大学受験地理を攻略するためには、まずは自然現象を完璧にすることが一番の近道ですから、きっちりと学習していってくださいね。